日本工業大学 NIPPON INSTITUTE OF TECHNOLOGY

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大学概要

(財)大学基準協会による本学の相互評価結果 (平成16年3月5日)

平成16年3月5日

I. 認定の可否

貴大学は2003(平成15)年度相互評価の結果、本協会の大学基準に適合していることを認定する。

II. 相互評価結果の概要

〔1〕総 評

1 理念・目的・教育目標の達成への全学的な姿勢

1908(明治41)年に開校された東京工科学校を前身とし、1967(昭和42)年に日本工業大学として出発した貴大学は、時代のニーズに合わせて、学科の新設および大学院博士前期課程・博士後期課程設置などの充実を図ってきた。日本工業大学綱領は、(1)真理の探究に努めるとともに、工学理論を現場の技術に直結しうる能力を持つ高級科学技術者を育成する、(2)実習、製図など工業高等学校卒業程度の技術的能力を備えた人材を集め、それらの知識の延長においてさらに高度の技術教育を行う、(3)世界各国の先進技術の摂取、発展途上国への技術伝播を行うとともに、わが国の工業技術の高度化に資する人材を育成する、(4)産学共同の理念に基づき、現実社会との連絡を密にし、その発展に寄与する、(5)単に技術教育に偏することなく、広い世界観と堅実な思想をもち、建設的で実践的な社会人を育成する、の5つの柱からなり、これらは高等教育機関として適切であり、今後もその役割を果たし続けることが期待される。特に、(1)、(2)の日本工業大学綱領はユニークであり、工業高校出身者に、より高度な技術教育を施し、さらに国際的視野、現実社会との連携を教育することは大きな特徴といえる。また、類似の考え方をもつドイツのシステムを常に調査しつつ、自らの進む道を点検している点も評価できる。しかし、学部の教育目標が鮮明である反面、大学院の教育理念・目的が明解さを欠いている。

貴大学が日本工業大学綱領を中心に据えて、昨今の社会情勢を考慮しつつ理念達成を目標に真摯な検証を行い、さらなる充実を求めている姿勢は高く評価できる。

2 自己点検・評価の体制

貴大学は1977(昭和52)年以来、毎年、教育研究活動の報告を「年次要覧」として刊行してきたが、今回の自己点検・評価が貴大学としての初めての総合的自己点検・評価である。全般的に数値などのミスが多く、かつ、記述が不正確、説明が不十分な箇所が見受けられたので、恒常的に自己点検・評価を行う制度を構築し、今後の自己点検・評価活動においてその改善が望まれる。

3 長所の伸張と問題点の改善に向けての取り組み

貴大学が日本工業大学綱領の達成を常に目標に掲げつつ、一方では現状を厳しく見つめ、主として工業高校卒業生を対象とした実践的な教育に取り組んでいることは、高く評価されるべき点であり、今後とも一層の努力を期待したい。近年、工業高校卒業生の比率が減少しつつある傾向も見られるが、日本工業大学綱領とも密接に関連する、「工・大の接続」の動向にも注目したい。また各種センターでの実技教育、工業技術博物館を通じての近隣社会との交流・社会貢献やISO14001の取得も貴大学の大きな特徴であり、これらの特色を評価したい。

他方、点検・評価報告書やその他の資料には、貴大学が自らの長所をさらに伸ばす潜在能力を有していることに加え、改善すべき課題があることも示唆されている。すなわち収容定員に対する潜在学生数比率が高いこと、収容定員に対する図書館の閲覧室座席数の比率が低いこと、入学定員に対する推薦入学定員の割合が高く実推薦入学者も多いこと、などである。これらの点に関する勧告と助言をふまえた改善策を実施するとともに、参考意見にも配慮されて、一層の改善に努められたい。

〔2〕勧告・助言

総評に提示した事項に関して、特に改善を要する点や特筆すべき点を以下に列挙する。

一、勧 告
  • 1 学生の受け入れについて
    • 1)工学部の全学科における収容定員に対する在籍学生数比率が高いので、適正化をはかられたい。
  • 2 大学・学部等の図書館及び図書等の資料・学術情報について
    • 1)図書館の収容定員に対する閲覧室座席数の割合が低いので、改善されたい。
二、助 言
  • 1 大学・学部・大学院研究科等の理念・目的・教育目標について
    • 1)長所の指摘に関わるもの
      なし
    • 2)問題点の指摘に関わるもの
      なし
2 教育研究組織について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)工業技術博物館や工業教育研究所をはじめとする諸センターを備え、実務能力と開発能力を備えた中堅技術者育成の目的に即した対応ができていることは評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
3 大学・学部等の教育研究の内容・方法と条件整備について
(1)教育研究の内容等
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)工業高校の卒業生を多く受け入れているという特徴を反映した取り組みがなされていることは評価できる。
    • 2)「スチューデントラボ」や「カレッジマイスター制度」は、もの作りの実践教育を目指したもので、大きな特長といえる。
    • 3)機械工学科および情報工学科におけるインターンシップ、情報工学科におけるボランティア活動が、それぞれ単位として認定されていることは、「現実社会との連絡を密に考える」という理念にかなうものであり、評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)入学時点での英語、数学等の基礎学力の不十分さや、多様性を持たせた教育と深化した教育の両立の困難さに対して、さらに組織的に取り組むことが望まれる。
(2)教育方法とその改善
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    なし
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
(3)国内外における教育研究交流
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)研究成果をもとに外国企業との合弁によるベンチャー企業を設立していることは評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)学術交流協定を9大学と締結しているが、実質的学術交流がみられない大学も見受けられるので、交流を活性化し、教育に反映することが期待される。
4 大学院研究科の教育・研究指導の内容・方法と条件整備について
(1)教育・研究指導の内容等
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)各専攻ともコースまたは部門制に分けている点は、院生の進学目的を明確にし、学士課程での学修内容の専門性をより高めており評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
(2)教育・研究指導方法の改善
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)院生の学会参加を奨励するための学会参加費および交通費を予算化し、院生担当教員へ支給している点は評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)大学院における教育・研究体制を組織的、システム的に検討する体制を整備することが望まれる。
(3)国内外における教育研究交流
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    なし
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
(4)学位授与・課程修了の認定
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)博士前期課程における学協会での1回以上の口頭発表の義務付けは、修了の認定の透明性として評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
5 学生の受け入れについて
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)工業高校卒業生を主体とした推薦入学を重視した多様な取り組みは、教育理念・目的を反映しており評価できる。また、推薦入学後の成績で推薦枠を調整し入学者の質を維持していることは、推薦側の工業高校の信頼にも結びつき評価できる。
    • 2)大学院は社会人に対して門戸が開かれており、博士後期課程では30%強の社会人学生が在籍していること、また、企業などに在籍しての入学を認めていることは、社会との連携を強く意識している理念に適合しており評価できる。
    • 3)留学生を受け入れ、発展途上国の技術伝播に貢献していることは評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
6 教育研究のための人的体制について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)実学重視の理念・目標からすると、企業経験者等を教員として積極的に採用している点は評価できる。
    • 2)人的制約の厳しい中で、各種センターに講師ないし助手を、教育・研究支援職員として適宜配置している点は評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)大学院担当教員の資格審査手続や判断基準が全学的に周知徹底していないようであるので対応が望まれる。
7 大学院における研究活動と研究体制の整備について
(1)研究活動
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    なし
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
(2)研究体制の整備
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)講師以上の教員に対し、毎年1回の海外での学会活動のための予算を確保していることは評価できよう。
    • 2)博士後期課程の院生の研究促進のため、学内で選ばれた研究テーマに対し配分される「大学院重点特別研究費」は、院生と院生指導教員それぞれに支給され、研究活動に対するインセンティブになっている。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)受託研究、共同研究等を推進することは、学生の教育にも有効であると考えられるが、共同研究等の受け入れ体制が十分に整備されていないようなので、共同研究規程や機密保持規程等の倫理規程の整備などが必要であろう。
    • 2)採択率はともかく、科学研究費補助金の申請件数が大学院担当教員数に比して少ないので、申請件数の増加が望まれる。
8 施設・設備について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)ISO14001取得により、全学的に環境・安全に対する意識の向上が図られていることは大いに評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
9 図書館及び図書等の資料、学術情報について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    なし
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)情報化社会に対応し、外部に対しても開かれた情報システムの構築が望まれよう。
10 社会貢献について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)工業教育研究所、工業技術博物館を中心とした「技術教育国際フォーラム」が毎年開催され、社会との文化交流に貢献している。
    • 2)工業技術博物館では多くの機械が動態保存されており、地域の小・中・高生の見学も盛んで工業の理解に貢献している。
    • 3)産学リエゾンセンターが主体となって、ビジネス交流会や産学交流会などを定期的に開催し、地域貢献および産学共同に努力していることは評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    なし
11 学生生活への配慮について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    なし
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)中途退学者が各年度120〜150人にのぼり、また不登校学生の多くが退学や除籍となる現状に鑑みて、不登校学生への対応とあわせて、組織的な学生支援体制の整備が望まれる。
    • 2)「日本工業大学セクシュアルハラスメント防止等に関する規程」やガイドラインをもとに、学内への周知・徹底に努められたい。
    • 3)専門カウンセラーの増員を図ることが望まれる。
12 管理運営について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    なし
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)学長の権限とその行使についての規程の整備が望まれる。
    • 2)意思決定機関の一つである「部長会」の性格が不明確である。
    • 3)大部分の委員会が規程を持たず、慣例によって運営されているので、規程の整備が必要であろう。
13 財政について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    • 1)「日本工業大学通信」に財務三表と解説を掲載しており、学内外の幅広い層への財務公開に努めていることは評価できる。
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)工学系私立単科大学の平均に比して流動比率や自己資金構成比率は低く、総負債比率が高い状態にあるので、中・長期的な展望での改善が望まれる。
    • 2)帰属収入に対する翌年度繰越消費支出超過額の割合が累増傾向にあり、2002(平成14)年度決算では64%に達しているので改善が望まれる。
14 事務組織について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    なし
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)「部長会」の規程がなく、位置付けが不明確で、組織と指揮系統が判然としないように見受けられる。
15 自己点検・評価等について
  • 1 長所の指摘に関わるもの
    なし
  • 2 問題点の指摘に関わるもの
    • 1)「年次要覧」を過去20年にわたり発行してきたが、総合的な自己点検・評価は今回がはじめてであるので、今後の制度の確立が必要である。

以  上