大学院 工学研究科 建築学専攻

博士 前期課程(マスターコース)

現代社会における生活環境は、科学・技術の発展により著しい変化を生じている。
建築の分野をみても、大規模化・高層化が進み、広域にわたる土地開発が進められてきた反面、人口集中による巨大都市化が人間性を疎外する現象を生み、深刻な社会問題をなげかけている。このような問題に対処するためには、都市における人間環境の確立を目的に、地域単位の都市建設が要請されており、これには、建築学の総合的な研究・開発が必要である。また地震・火災公害など自然界の外乱や人的災害から人間社会を守り、より豊かで安全な生活条件の確立も要請される。他方、歴史的に蓄積された文化環境を整える手法も求められている。
これらの社会的要求にこたえることのできる、幅広い能力を備えた研究者・技術者・建築家を養成することが建築学専攻の目標である。

博士 後期課程(ドクターコース)

建築構造学考究部門Ⅰ

建築構造の主な構造種別としては、木質構造、鋼構造、鉄筋コンクリート構造および鉄骨鉄筋コンクリート構造である。さらにこれらの下部に基礎構造がある。最大の課題はこれらの構造の耐震安全性にある。本部門は、世界各地に頻発する大地震の時の震害調査等から得た新しい知見に基づき、各構造種別の構造物内に生じる破壊性状や変形挙動を含めた構造物の耐震性能評価について考究することを目的とする。即ち、これらの構造種別により構成される部材、耐震要素や接合部などの実挙動の検討や、鋼材とコンクリートの共同性の解明等に努め、耐震安全性の確保された構造設計や数値解析への展開を追及する。

建築構造学考究部門Ⅱ

建物には構造骨組、仕上げ、設備機器などの部分に各種の建築材料が使われており、建物に求められる性能を満足するために、これらの材料の性質を把握する必要がある。また、建物を支持する地盤の性質も重要な要素である。本研究部門は建築に関連する材料の性質の解明、新素材の開発、建物の各部の挙動を解明するための実用的応用技術の開発などを目的に考究を行う。

建築計画学考究部門Ⅰ

居住は人々の生活と密接にかかわり、居住のあり方はその土地固有の環境と深くかかわりあう。本部門では、この観点に立ち三つの視点から研究を展開する。すなわち、第1は居住は自然環境との関係性の上に成り立つこと、その形式と意味との関係は身体性に基づく世界認識によることを構造として考究する。第2は、家族と生活のあり方を展望し現代的な生活空間を考究するとともに、居住環境における文化と持続についてフィールドサーベイの手法を修得し、空間計画技術を構築する。そして第3は、風環境・熱環境、水辺・緑・エネルギーなどの視点から地域環境特性を考慮した快適な居住環境の設計手法を、実測や実験・解析を通して考究する。

建築計画学考究部門Ⅱ

文化は、それぞれの土地に密着した人間の営みによって歴史的に蓄積されたものである。建築・都市もそうした文化が創りあげた環境である。しかし、工業化、情報化が急激に進み、文化は画一化、均質化に向った。歴史や風土と断絶すれば、人々が求める文化環境を整える手法は用意できない。人類の文化の衰退を招く恐れさえある。本部門は、この観点に立って文化における建築・都市の役割を認識し、意匠や空間の質的内容はもちろん、その構成および設計・計画について考究する。ネパールの王宮・仏教僧院を調査し、仏教僧院の修復を提案、完成させた経験、国内での復原設計の経験を生かして、国内はもちろん、国外においても建築・都市を調査し、文化環境の修復・整備を計画し、実施に努める。