NIT トレインラボは、本学教員の研究内容を紹介する場。
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目指せ、現代の伊能忠敬!
―MMSで現実世界を電脳世界へ―

基幹工学部 機械工学科
制御システム研究室
石川貴一朗 准教授

地図というと一昔前は紙媒体、最近では、GoogleMapsなどで提供される電子地図が思い浮かぶと思います。この地図を三次元に、さらに高精細に空間の情報を収集するためのシステムがMobile Mapping System(MMS)です。

MMSは車両の上にGNSS(※1)、IMU(※2)、レーザスキャナ、カメラといった様々なセンサを搭載し、道路を走りながら周辺の環境を三次元で計測するシステムです。MMSはGNSSとIMUで車両の位置と姿勢を推定し、レーザスキャナで周辺の物体までの距離を測ります。

さらにカメラで撮った画像から色情報を取得することで、色つきの三次元情報を取得することができます。レーザスキャナは1秒の間に数万点~数十万点を計測できるため、細かく形状を取得することができます。

MMSで取得された点群は、高精度な三次元地図だけでなく、インフラの管理や、道路付帯設備の調査や、景観シミュレーション、災害調査など様々な分野に応用されているほか、高精度三次元地図は、最近では自動運転用の基盤データとしても期待がされています。しかしながら、MMSの三次元点群は一回の計測で数千万点~数億点になるため、これらに利用するためには、この点群の中から自動で必要なデータだけを抜き出してくる必要があります。

制御システム研究室では、MMSに関連する技術について、以下のような研究を行っています。


■GNSSが使えない環境下での位置推定精度向上
GNSSが使えない状況が続くとMMSの推定位置には誤差が累積していき、精度が悪化してしまいます。この精度悪化を防ぐためにLaser Odometry and Mappingと呼ばれる手法で累積誤差を軽減する研究を行っています。

■車が進入できない場所を計測するMMSの開発
MMSは災害後の被災状況調査にも使用されていますが、発災直後に道路が寸断等されていれば計測することができず、復旧後の調査が主な役割でした。一方で発災直後の被害状況調査はその後の人命救助や復旧に重要です。そこで、本研究室では、走破性の高い水陸両用車両にMMSと同様のセンサを搭載し、従来のMMSでは進入できない場所や、人が入れない場所を遠隔で安全に三次元計測するシステムの開発も行っています。(H25~H27年度 総務省消防庁 「消防防災科学技術研究推進制度」の助成(研究代表杏林大学)を受けた研究成果に、さらに改良を加えたものです)

■三次元点群からの物体認識
MMSの計測データを効率的に使用するために、機械学習などにより、三次元点群データやMMSで取得した連続画像から物体を自動で認識する研究を行っています。自動認識する対象は、架線、電柱、標識、縁石など多岐にわたります。


(※1)GNSS(Global Navigation Satellite System) GPSなどに代表される衛星測位システムの総称です。高精度なものだと、誤差数cmで位置を計測することができます(GPSはアメリカの測位衛星、日本の測位衛星はみちびきです)
(※2)IMU(Inertial Measurement Unit)慣性計測装置、加速度や角速度を計測するセンサです。姿勢を計測するために使います。
この動画は、MMSで本学宮代キャンパスを計測した結果です。灰色の点はカメラの画角外なため色が付けられなかった点です。建物の壁面形状だけでなく、路面の凹凸まで計測できます。
本学にあるSLをSFMと呼ばれる手法を使い、カメラだけを使って三次元復元したものです。
通常のMMSでは移動できない場所を計測するための水陸両用車両です。上に搭載されているのがレーザスキャナです。動画は学内にある実験場で走行性能試験をしている時の様子です。最高時速は18kmです。
水陸両用車両で池の中に入りながら周囲を三次元復元している様子です。この車両はある程度の水深があるところでは完全に浮き、タイヤについている水掻きで推進力を得ています。動画後半は、この時の三次元復元結果です。NDT-SLAMと呼ばれる手法で三次元復元したものです。