英語圏文学

南谷 奉良 講師

Laboratory

研究室紹介

関心分野は英語圏文学で、「20世紀最大の小説家」として知られるアイルランドの小説家ジェイムズ・ジョイス(1882-1941)を中心に研究をしています。他に、19世紀から20世紀初頭における動物をめぐる文化や制度、その表象の問題、また、人文学からアプローチする痛み論にも取り組んでいます。

研究業績→https://researchmap.jp/minamitani
ジェイムズ・ジョイス研究書誌サイト→http://www.stephens-workshop.com

主な研究紹介

私の研究は、ジェイムズ・ジョイスの主要4作品―『ダブリナーズ』(Dubliners, 1914)、『若き日の芸術家の肖像』(A Portrait of the Artist as a Young Man, 1916)、『ユリシーズ』(Ulysses, 1922)、『フィネガンズ・ウェイク』 (Finnegans Wake , 1939)―の分析が中心で、研究方法には、その語彙や文体の分析から文化史の考察までを含みます。押韻や地口、新造語等の言語実験に加えて、意識の流れや内的独白といった技法を駆使して人間の意識や無意識のなかに入り込んでいくジョイスの文体は、20世紀前半のハイ・モダニズム期の文学の結晶と言えます。またこの作家が描くダブリンは膨大な文化の記憶の貯蔵庫であり、当時の生活様式や都市空間を知る上でも有用です。

他方では、文化史から文学テクストを考察し直す研究も行っており、動物をめぐる文化や制度、その表象の問題にも関心があります。例えば19世紀から20世紀初頭、地質学や古生物学、医学や生理学、疫学といった自然科学が著しく発達した時代において動物は人間社会のなかでどのように扱われ、どのような眼差しのもとにあり、どのように表象されていたのか。これらの疑問をもとに動物を登場させる文学作品を読みなおすと、変動する動物の社会的ステータスや倫理的・社会的問題の解明に通じ、ひいては21世紀現在の動物観との繋がりや断絶を浮かび上がらせることができます。

文化史的な関心から派生して、現在では「痛み」という事象にも取り組んでいます。誰の生にもありふれた、とはいえ言語化や数値化、他者との共有が困難なその情動体験を人文学の見地から再考するアプローチで、とくに人や動物が体験・遭遇している〈生きている痛み〉を日常と言葉、文化と歴史の中から発見し、その意義や役割、伝達可能性を考えるものです。他の学問分野の研究者と共同で運営している「痛みの研究会」の代表を務めており、定期的に公開イベントを開催しています。

英語教育

できるだけ学生の現在をとりこんで授業を行うことを意識していますので、取り扱う題材や方法について意見や提案があれば大歓迎です。テキストの英語を、文字媒体のみではなく、動画や音楽などの視聴覚資料を利用したり、独自に開発した匿名掲示板「Outis」(ウーティス)を使って授業を行っています。英語に関する相談も随時受け付けていますので、どうぞ気軽に声をかけて下さい。