代数学

堀内 淳 講師

Laboratory

研究室紹介

 私は代数学に研究の基礎を置きながら、数学全般に興味を持っています。
 特に可換代数学、代数幾何学、数論、数論幾何学に興味を持ち、研究に従事しています。
現実社会との対話により、数学の境界は日に日に拡大しています。学生の皆さんは数学の工学への応用に興味をお持ちになるかもしれませんし、数学の純粋性に惹かれる方もいらっしゃるかもしれません。各々が数学に対しての見解を持ちうるでしょう。その考え、思想は優劣や比較の対象ではありません。皆さまは数学に対してどのような意見をお持ちですか。もしお会いする機会がありましたら、貴方の意見を教えてください。私が大事にしているゲオルグ・カントールの言葉を引用します。

「数学の精神はその自由性にある」

主な研究紹介

 ここで、私が興味を持つ数学について、お話をしたいと思います。
代数学は、ある集合とその集合上の演算を対にして考え、その数学的な構造を考える学問です。このような視線で様々な対象を代数学の研究対象にすることができます。群・環・体などの言葉と定義をご存知の方もいらっしゃるでしょう。特に、私の主たる研究対象である可換環についてご紹介しましょう。可換環は、和と積の交換法則が成り立つ二種類の演算が定められ、加法、減法、乗法が自由に行える世界といえます。整数全体からなる集合に通常の数の和と積を考えますと、これは整数環とよばれる可換環の一番重要な例となります。

 可換代数学には整数環以外にも大事な研究対象があります。例えば、皆さんは高等学校で、円、楕円、放物線、双曲線などの様々な曲線を学んだかと思います。これらの曲線は式で表すことができることもよくご存じでしょう。図形の外見上の性質や特徴は、実はその図形を定めている式(方程式系)を考察することでもあるのです。この方程式系を深く考えることにより、多項式環やイデアルとよばれる可換代数学と代数幾何学の重要な源にたどり着くのです。整数環と多項式環が可換代数学の両親であるということができるでしょう。

 さて、数学を展開する世界を考えるとき、その世界の秩序が大きく影響することがあります。例えば、単位である1を素数回、$p$ 回足すと零0になってしまう世界(標数 $p$ の世界)もありますし、$p$ 進整数環という環では、それ自身は標数が0ですが、剰余体は標数がpとなる不思議な性質を持つ世界としてしられ、数論の重要な研究対象となっています。また、相異なる複数の方程式から、同じ図形が定められることもあるのです。このように、どのような集合の上で考えるのか、どのような方程式系を考察するのか、多角的な視野からの解析が必要となるのです。

 そして、最終的には数論幾何学とよばれている代数学に研究の成果を集約できるように日々、新しい数学に出会いながら研究を続けています。