民俗文化研究室

板橋 春夫 教授

Laboratory

研究室紹介

民俗文化研究室では、通過儀礼(誕生・成人・結婚・死など人生の各段階を通過する際に行われる儀礼)の研究に、住まい文化の視点を加味しながら、文献・伝承・物質文化を活用した調査研究を進めています。研究の範囲は、住居空間の利用だけでなく、家の神や屋敷の神々との交流、そして住まいに展開する家族の暮らしのあり方など、人びとの暮らしをトータルに捉える幅広い分野に及びます。地域へ直接出向いて「あるく・みる・きく」というフィールドワークによって得られたデータを分析しながら理論を構築していきます。

大水から守る水塚
河川の氾濫による浸水被害の多い地域では、主屋よりも一段高い盛り土をして、ミズカ(水塚)と称する蔵を建てた。水塚は穀物を守り、人間が避難するしつらえで、まさに水防の知恵であった。(群馬県館林市大島町)

主な研究紹介

家族の生活と住まいに関する調査研究

現在の大きな研究テーマは、通過儀礼研究と日本のイエ文化研究をクロスさせる方法論を構築することです。イエという日本語には、家族family、家屋house、そして先祖や子孫を包含する翻訳不可能なieの3つの意味があります。現在は、研究の基礎固めとして、それら先行研究の整理に努めています。

座敷いっぱいの正月飾り
主屋の奥座敷に、しめ縄を張りめぐらし、正月神を迎え祀るための神聖な空間をしつらえる。(愛知県北設楽郡東栄町古戸)

三世代の手判
このお宅は近世以降、現代までに三世代が同居した時期が2度もあった。実に希有な事例であり、残された手判の掛け軸は、イエの永続の歴史を物語る貴重な資料である。(群馬県館林市大島町)

誕生から死までの習俗と儀礼の研究

人間の誕生から死ぬまでの人生の各段階を通過する際に行われる儀礼を通過儀礼と呼んでいます。とくに生と死の問題を深めるために、誕生の場と臨終の場にこだわって調査研究を進めています。誕生については産屋、死については葬送儀礼を中心に民俗学・文化人類学的研究を行っています。

京都大原の産屋
昭和23年まで使用された産屋。当時は、出産後に川を渡って対岸の産屋に入り、そこで儀礼的に一晩を過ごした。内部は土間で、入り口に魔除けの鎌がぶら下がる。産屋の後景には近代住宅が見える。(京都府福知山市三和町大原)

災害と暮らしに関する調査研究

自然災害、とくに大水と地震の二つを柱に調査研究を進めています。洪水常襲地帯では長年の経験から水防建築として水塚を建てました。現在、利根川や渡良瀬川流域に点在する水塚を調査研究しています。また、新潟県中越地震によって全村避難した旧山古志村の震災復興過程における人びとの暮らしに着目した調査研究も進めています。

集団移転した「天空の郷」
積雪が3メートル以上になるので、除雪した後は壁ができる。被災した集落が高地の一角に集団移住して人工的に作った集落「天空の郷」。屋根の雪おろしを必要としない住宅であるが、高齢者は階段の上がり下りが困難になっている。(新潟県長岡市山古志地区)