福祉空間計画研究室

勝木 祐仁 准教授

Laboratory

研究室紹介

着心地よく、しかも自分らしい服。座り心地よく、しかも個性的な椅子。そのような服や家具の延長として建築やまちがあったなら、そこでの暮らしは快適で魅力的なものになることでしょう。しかし建築やまちが多様な人々の生活の場であることを忘れてはいけません。小さな子どもからお年寄りまで、幅広い年齢の人がいますし、体の不自由な人、外国から来た人もいます。建築の設計やまちづくりにおいて、そのことが十分に意識されてきたとは言えません。誰もが住みこなし、いきいきと暮らせるような生活環境の実現に向けて、これまでの建築やまちのあり方を批判的にのりこえ、再構成していく方法を探求しています。

主な研究紹介

生活環境の形成過程に関する研究

日常の生活環境がどのような過程で形成されてきたかを明らかにする研究を行っています。人の暮らしがいかに日常の環境を培い、その中でいかに人の暮らしが育まれてきたか、その相互作用に注目しています。具体的な対象は様々ですが、昭和初期に日本の住宅に電灯が導入されていった過程や、住宅地に医院が普及していった過程などもテーマとしてきました。既存の環境を読み解き、批評的な視点を投げかけたり、大切な要素を見いだすことは、生活環境の再編に対しても有意義な知見を与えると考えています。

宮代町の風景:日常の風景も研究対象となる

昭和初期の東京近郊における診療所の普及状況(平成26年度修士論文より)

近代日本における医療施設の史的研究

建築の歴史は長い間、設計や建設を行う側の立場から叙述されてきました。そこに介在した多分野の営みや、そこで生きた人たちの視点が踏まえられることはほとんどありませんでした。そこで建築の歴史の視野を拡張する試みの1つとして医療施設の史的研究を行っています。現代における医療施設の建築形式は20世紀前半に形成されたものを原型としています。その原型の成立過程を当時の医療文化、生活文化、人々の病気や医療に対する心性に照らして明らかにすることを目指しています。

明治期東京における病院建築の一例(工藤鉄男 編『日本東京医事通覧』、明34.11)

昭和初期東京における医院建築の史料例

生活環境のリ・デザインに向けた基礎的研究

時代が変われば生活のニーズは変化し、求められる生活環境のあり方も変わります。例えば超高齢社会をむかえた今日の日本では、高齢者の社会活動、多世代間の交流・協働の活発化に向けて、誰もがアクセス可能で使いやすい公共空間・公共施設の実現が大切であり、高度経済成長期に骨格の形づくられた生活環境のリ・デザイン(再編)が必要です。そこで生活環境のリ・デザインに向けた基礎的研究として、新たなライフスタイルの萌芽のみられる住まい・施設の使われ方や、多様な立場の人の参画による生活環境のデザイン手法について調査・研究を行っています。

留学で滞在したモントリオール郊外:街路樹の木陰で老若男女が憩う情景をよく目にした。

共用スペースの使い方と設えを考えるワークショップ:特別養護老人ホームにて