計算知能化研究室

辻村 泰寛 教授

Laboratory

研究室紹介

現実に存在する多くの工学問題、例えばスケジューリング問題、配置問題、割当て問題、選択問題などは組合せ最適化問題として記述できる。辻村研究室では、様々な組合せ問題を数学的に定式化する研究を行っている

一般的に組合せ最適化問題は整数計算問題として定式化されることが多いが、中には決定変数に対して目的関数や制約条件式を空間で規定できない場合が存在する。これはある組合せと別の組合せの間に数学的な関係が存在せず、したがって空間上にマッピングできない場合である。一般的に用いられる数理計画法や分枝限定法は、このような問題に対し、特別な手段を講じなければならず、効率性や計算のロバスト性の点で問題が多い。最近、組合せ最適化の有効な技法に進化的計算(Evolutionary Computation、以下EC)がある。ECは元々は生物の進化の基本的なメカニズムを模倣した方法論で、得られた解の最適性は保証されないものの、高い確率で準最適解あるいはそれに近い満足な解が得られる、優れたロバスト性を有する。辻村研究室では、ECを様々な組合せ最適化問題へ応用することで、適用性と有効性を検討している。また、蟻の捕餌行動を模倣したAnt Colony Optimization、鳥や魚の群れの捕餌行動を模倣したParticle Swarm Optimizationなどの群知能が最適化手法として注目されており、群知能の基礎研究及び応用研究も行っている。

一方、上記の研究とは別に、宮代町における高齢者向けSNS講座を毎月開催し、宮代町に住まわれている高齢者の方々の情報スキルを向上させる取組みを行っている。

高齢者向けSNS講座で活躍する学生達

主な研究紹介

状態AntによるACSとそのTSPへの応用

近年、組合せ最適化問題に蟻の最適化行動を模倣した最適化アルゴリズムであるAnt Colony Optimization(ACO)が用いられ注目されている。ACOの一種であるAnt Colony System(ACS)は、巡回セールスマン問題(TSP)の解法としてよく知られている。ACSでは大局的更新ルールにより今までに発見した最良の探索結果に基づいてフェロモンの情報を更新し、エージェント群全体の探索領域を最良解付近に集中する。また、局所的更新ルールによって探索領域に揺らぎを持たせている。しかし、局所的更新ルールが必ずしも巡回路の形成に寄与しておらず、探索効率を低下させているため、巡回路の形成に時間が掛かる問題がある。本研究では、TSPに対する探索を効率的に行うために、巡回路そのものを蟻エージェントとする状態Antを定義し、これを用いたState-Based Ant Colony System(SBACS)を提案する。また、評価実験により従来法と比較して、計算速度の面で大きな優位性を示している。

状態Antが状態遷移空間を移動する様子

仮想工場の生産計画における原材料の輸送による全般的在庫調整問題

近年、顧客の要求が高まっており、より良い製品が望まれている。この顧客の要望に応えるために、ほとんどの企業は独自の工場で生産を行っている。 このような工場では、生産計画、品質管理、在庫管理などの問題が存在する。すなわち、「無駄なく製品をどのように生産し、より多くの利益を上げるか」という目標を有する。第4次産業革命の時代が間近に迫る中、そのような工場の在り方が変わろうとしている。工場の生産プロセスはオープン化し、それらはIoTやM2Mにより仮想的に統合されて一つの大きな工場として生産を行うようになる。これにより、あらゆる資源の無駄を排除し、低コストで高い生産性を実現する。例えば、日本の経済産業省が推進するスマートファクトリが一例である。このような仮想工場は、複数の現実の工場を、仮想現実(VR)技術を用いて一つの工場と見なして管理する。しかし、受注は仮想工場で受けるため、事前に現実の各工場の原料/部品在庫の状況により、受注する生産が実際に可能であるかどうかを検討し、各工場で在庫の過不足がある場合には、何らかの対応を考えなければならなし。本研究では、まず、仮想工場の生産計画における在庫調整問題を、原料/部品在庫の輸送により調整する観点で定式化する。 原料/部品在庫は、在庫の余剰に保有する工場から同じ原料/部品在庫が不足している別の工場への輸送により調整される。 このモデルの目的関数は、全製造コストと総輸送コストの最小化である。

仮想工場の概念