建築生産研究室 (片岡 誠) |建築学科・建築コース|学部・大学院|実工学教育の日本工業大学

建築学部建築学科・建築コース

建築生産研究室

片岡 誠 教授

教員紹介 紹介動画

研究室紹介

設計や構造などの多くの科目では、おもに「何をつくるか」の視点で学びます。しかし、「どのようにつくるか」という問いもとても重要です。この「どのようにつくるか」という視点で建築を見直すのが当研究室です。
建築生産研究の対象はとても広く、建築現場の安全性・生産性の向上のような現場に近いものから、情報技術を活用した設計物の評価手法のような設計段階を対象にしたものまでさまざまです。最近の情報通信技術の発展はめざましく、これらの技術を建設生産に活かすことができれば、建築生産をより安全に、より効率的に進めていく可能性も広がります。そのような新しい建築生産に取り組んでいます。
学生のみなさんには、いまの建築生産を正しく捉え、そのうえで新しい建築生産の姿を描いてもらいたいと思っています。
 

主な研究紹介

施工計画・施工管理に関する研究

与えられた期間で建築工事を完了させるためには、事前の計画と日々の管理が大切です。施工計画では、これから作ろうとする建築物の施工数量を求め、どのような工法を採用すればどのくらいの時間がかかるかを計算します。同時に、必要なリソース(労務量、機械、費用など)を把握することも重要です。このプロセスの一部をコンピュータプログラムで自動化することができれば、無駄の少ない施工計画ができるでしょう。そこで、BIM(Building Information Modeling)を使って、施工数量を求めたり、クレーン配置や工区分割を検討したりする仕組みを考えています。また、作成された計画どおりに施工を実施するためのツールの提案などを行います。

ひとつの建物情報から複数の施工計画を生成するシステム

BIMを使った建築物評価に関する研究

BIMを使って表現された建築物からさまざまな情報を取り出し、建築物の評価を行います。たとえば、空間の配置計画を人の移動経路の視点で評価したり、建築基準法を満足しているかどうかを判定したりする技術を開発します。BIMソフトウェアの中には自作のプログラムで機能を拡張できるものがありますので、この仕組みをつかってアイデアを実現していきます。

BIM内の人の移動を音声で操作するプログラム

建築基準文書の対象部位を検索するBIMプログラム

ICTを活用した教育ツールに関する研究

建築を学ぶ際にも情報通信技術(ICT)は効果を発揮します。
設計科目では模型を作って建物を計画したりプレゼンテーションしたりします。従来の手法に加えてコンピューター・グラフィックス(CG)を活用すれば、表現に変化を与えることができ、周辺環境との親和性や時間帯・天候による建物の見え方を検討することができるようになります。最終的にはプレゼンテーションの表現力も向上するでしょう。実物の模型を手作業で作りながらも、変化する周辺環境をシミュレートし、人や車の動きをアニメーションとして表現するために、実模型とCGを重ね合わせる手法を提案しました。



実模型とAR敷地模型をリアルタイムに重ねる手法(制作 金子聖也氏)

また、力学教育においては、見えない部材応力や微小な変形を可視化して、力の大きさや加力位置の違いによる構造物の変化を体感的に理解するのに役立つでしょう。ヴァーチャル・リアリティ(VR)を使うことで、これを実現することが可能になります。学生はヘッドマウントディスプレイを使って、仮想上の構造物に力を加える感覚を体験し、そのときの構造物の反応を見ることで、力学を体験的に学ぶことができます。



Oculus Quest 2を用いた部材応力の変化をVRで体験するデバイス

建築現場の情報化を進めるための研究

建設業界でも情報技術の活用が進んできましたが、建築現場への情報技術の展開にはまだ大きな余地があります。いろんなアイデアで施工の情報化を提案しています。スマートフォンや製作した装置を使って仮想空間と実空間との橋渡しをしていきます。また、新しい仕組みを提案するためには建築プロセスを詳細に理解する必要があるため、施工現場調査や試験施工など地道な活動も行います。

仮想空間で作成された図形を実空間に正確に投影する研究

施工現場での作業記録