日本工業大学 NIPPON INSTITUTE OF TECHNOLOGY

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日本工大の取り組み

環境分野研究奨励助成金制度の採択研究一覧環境活動に関する資料

優れた環境保全の研究に対して、助成金を支給

教職員、学生、学外者の枠を超えた共同研究体制として、保護者の会 である後援会のご支援により設置された「環境分野研究奨励助成金制度」は、17年目を迎えました。この間90テーマの研究が取組まれ、学会への発表など社会への発信、環境管理活動への反映等々、着実に成果を収めています。2017年度採択研究の成果報告と、2018年度採択テーマをお知らせします。

2017年度 研究成果報告(抄) 助成金額(総額100万円)

ウルトラファインバブルによる大学構内床の洗浄を実現する
環境に優しい装置の開発

<研究期間>
2017年8月1日~2018年3月31日
<研究代表者>
機械工学科 教授 二ノ宮 進一
学生:機械システム工学専攻博士前期課程2年 土屋俊一、塩島亜木斗
   機械システム工学専攻博士前期課程1年 長倉智史、邱駿皓 機械工学科4年 石川光祐、
   春日啓汰、古澤吉泰、田中竣哉、柳澤輝一、川内勇輝 機械工学科3年 村本結衣、雨宮裕貴

図1

▲図1 ビーカー右側からレーザー光照射した
様子(左はUFB混入水道水、右は水道水のみ)

図2

▲図2 UFB混入水のみでブラッシングした
工作機械下の固着作動油汚れの床洗浄

 近年、直径1μm以下のウルトラファインバブル(UFB)の技術が注目され、工業、農業、医療等で利用されるようになっている。UFBの洗浄効果を期待して、NEXCO高速道路のトイレ洗浄等にも採用され、全国各地のサービスエリアで見かけるようになった.UFBは目には見えないが、グリーンレーザー光を照射すると、緑色のスジが視認できる(図1)。
 本研究室で考案したUFB発生装置を用いて、水道水内に多量のUFBを混入させた。この混入液を工作機械が設置された大学研究室の床に固着した機械油の洗浄に用いた結果、洗剤を使わずにブラッシングするだけで油分が剥離浮上した。機械油は、ブラシ洗浄後にUFB混入水内に含有されるため、ゴム製スクレーパーで回収して自然乾燥させると綺麗になった(図2)。これらの取り組みを、中心的役割を果たした大学院生(長倉君、邱君)がまとめ、日本工業大学主催のビジネスプランコンテストにて発表し、埼玉産業人クラブのNITEC埼玉産学交流会賞とオーディエンス賞の2賞を受賞した。

本館~14号館間にある池の景観改善に関する研究

<研究期間>
2017年7月1日~2018年6月30日
<研究代表者>
建築学科4年 荒井達喜
学生:建築学科4年 妻鳥光洋、里見勇飛、古谷宏貴、綱中怜也、平野雄大、濱口聡史、
   弦巻勇輝、玉田慶吾、西口祐乃

図1
図2

 2016年度後援会特別事業にて造成された本学本館-14号館の緑地は学生の利用が多いとはいえず、現状では有効に活用されていない。緑地としての景観が悪く、利用するには気が引けるのではないかと考え、本研究では緑地の多くを占める池に着目することとした。池は当初茶色く濁っており、これを透明度の高い水にすることができれば景観が大きく改善されると予想し、水の透明度上昇を目標として掲げた。
 浄化設備配置による生態系への影響等を踏まえ、昆虫・魚類を中心とした調査をおこなった。3回の調査の結果、生物の生息は対象地の西側に集中していることが分かった。また雨季の調査結果については、学内整備の一環でおこなわれる雑草刈り取りの直後で、予想よりも生物が少なかった。簡易水質検査は池の3地点より採取した水を対象とした。結果、どの項目も自然環境にある水としては問題のない数値であり、池の水の濁りは極端な水質の異常によるものとは結論付けられなかった。以上を踏まえ、周辺環境に影響を及ぼさず、水中の有機物除去ができる浄化方法として傾斜土槽法の採用を検討した。今回は装置の設置及び効果の検証に至らなかったが、問題解決の具体的な方針を示すことができた。

低環境負荷な高分子合成システムの開発

<研究期間>
2017年8月1日~2018年12月20日
<研究代表者>
応用化学科 教授 新倉謙一
学生:創造システム工学科4年 坂下晃太郎、佐々木一成、土谷尚弘、渡邉侑弥

図1

▲図1 タンニン酸とPEGとの水素結合
による複合体形成

図2

▲図2 タンニン酸-PEG複合体の水溶液
(写真)PEGとタンニン酸を混合すると
白濁する。

 生体応用を見据えた材料は、体内で分解され不要な免疫応答などを引き起こすこと無く排出されることが望ましい。我々は生体適用が可能で、環境負荷の少ない物質として、タンニン酸とポリエチレングリコール (PEG) の複合体に着目した。タンニン酸は植物などから抽出される物質でフェノール性水酸基を数多く持つ。PEGは生体適合性が高いことが知られている高分子である。これら2つの分子は水素結合により複合体を形成することが知られており、水溶液中でナノ粒子を作ることができれば、薬剤送達など様々な医療応用が可能となると考えた(図1)。この実験は実にシンプルで分かりやすい。高分子量のPEG水溶液とタンニン酸を混合すると白濁し、目視で複合体の形成が確認できる(図2)。諸条件を調べていくと、直径100 nm程度のナノ粒子も形成できた。次のステップとしてどのような分子を内包できるのかを調べている。本成果詳細は卒業研究のみならず春の学会でもポスター発表予定である。今後も医療につながる環境に優しい材料開発を発展させていきたい。

大学排水中のリン含有量調査とそれを通じたリン回収資源化プロセス提案の試み

<研究期間>
2017年8月1日~2018年7月31日
<研究代表者>
応用化学科 教授 内田祐一
学生:ものづくり環境学科3年 飯泉了大、江里川敦也、大倉野宇士、 野島功名、
   細野芽依、渡邊知穂

図1
図2

▲図 走査型電子顕微鏡(SEM)で観察された
高リン濃度の相

 本活動では、人間生活に必要不可欠なリンの資源リスク解消を目的とし、生活排水からのリン回収を試みる。その端緒として、大学排水中のリンの物質フローを把握するため、日本工業大学と、その下水道を所管する宮代町、中川水循環センター(中川C)の排水データを入手、整理した。日工大から下水中に排出される年間のリン量はH27-29年度の平均で約340kgであった。この量は、宮代町から排出されるリン量の4%、中川Cの0.06%に相当した。中川Cで下水スラッジに除去されるリン量は年間約480トンに上り、スラッジ中のリンが相当の資源ポテンシャルを有することが確認された。
 さらに、下水スラッジと鉄鋼スラグに含まれるリンの同時回収資源化の試みとして、両者の混合・高温焼成によるリン濃化相の生成を検討した。模擬混合試料を1300℃に加熱したところ、試料中に出発組成の2倍近く高いリン濃度を有する相がSEMで観察された。これより、下水スラッジと鉄鋼スラグの組合せにより、リンを濃化して分離回収できる可能性が示唆された。

落雷および音波を用いた外的刺激によるシイタケ栽培促進法の確立

<研究期間>
2017年8月1日~2018年7月31日
<研究代表者>
電気電子通信工学科 教授 平栗健史
学生:電気電子工学科4年 大和田雅也、3年 伊達隆人、2年 駒樺雅玖人

図1
図2

 昔から雷の落ちた場所にはキノコが大量発生すると言われている。このような現象を再現するために、椎茸の種菌を植えた原木である榾木(ホダギ)周辺に、インパルス電圧発生装置によって1500kVの人工雷撃を発生させ、椎茸栽培の実験を行った。
 落雷実験の結果は、落雷に曝さない榾木の椎茸収穫数を比較すると、明らかに落雷による榾木の収穫量が増加しており、約2倍の収穫量となった。すなわち、雷により椎茸の発生は大幅に増加することが証明された。
 我々は、この要因を解明する上で、電気的な影響ではなく、雷撃の衝撃波が影響していると考えた。その理由として、落雷のある避雷針から榾木までの距離は数メートルあり、電界を測定すると、1/100以下の電界しか届かないことが判明したからである。そこで、今後は雷に相当する衝撃波(音波)を与えた場合の椎茸の増産効果を確認することを計画している。衝撃波による実験結果は、今後の研究成果を楽しみにお待ちいただきたい。

蒸気機関車でのバイオコークス使用に向けたライブスチームでの評価・分析の研究

<研究期間>
2017年8月1日~2018年7月31日
<研究代表者>
創造システム工学科3年 奈良勇輝
学生:機械工学科3年阿部恵彦、植木悟

図1
図2

 バイオコークスは植物性廃棄物から造られ、高い熱量、長時間燃焼が持続する性質を持つ。その為、鉄鋼分野などで用いられており、石炭コークスの代替燃料として注目されている。我々はこの性質に着目し、同様に蒸気機関車の代替燃料として使用できないかと考えた。通常、蒸気機関車の燃料を選定する項目として、発熱量、湿分・水分量、硫黄分、揮発分、固定炭素量、灰分の量が重要になる。その中から、実際にライブスチーム(ミニ蒸気機関車)で燃焼させ悪影響が無いか。及び、質量あたりの発熱量を調べた。結果、石炭に比べ短時間で急速に燃焼、灰化した。発生した細かな灰は煙管、煙室に多量に溜まっていた。熱量測定の結果は、測定法が正しくなかった為、適切なデータが得られなかった。以上の結果より急激な燃焼・灰化という性質から燃料としては不向きであると判断した。しかし、燃焼の様子から石炭より発火点が低い挙動が見られ、吸湿・腐敗がし難いという観点から評価すると、石炭の発火点まで温度を上げる為の助燃材として使用できるのではという結論に至った。

2018年度 環境分野研究奨励助成金採択研究テーマ(総額100万円)

■ディープラーニングによる画像認識を用いた植物図鑑システムの開発

・研究期間
2018年8月1日~2019年7月31日
・研究代表者
教職員:電気電子通信工学科 高瀬 浩史
学生: 情報工学科4年 谷澤勇樹、情報工学科3年 飯田椋太、
窪川諄、高山太雅、中嶋大貴

■教材用太陽光発電システムの開発

・研究期間
2018年9月1日~2019年8月31日
・研究代表者
教職員:共通教育学群 鳥塚 潔、応用化学科 伴 雅人
学生:ロボティクス学科1年 森優子、横森直

■空気清浄機能を有するハイブリット型高性能プラズマ洗濯機の開発

・研究期間
2018年8月1日~2019年7月1日
・研究代表者
教職員:機械工学科 桑原 拓也(オブザーバー)
学生:ものづくり環境学科4年 矢澤龍之、川崎淳一郎
ものづくり環境学科3年 伊藤大智、
谷中るりか、中澤高雅、鈴木拓海、佐瀬司馬、酒本一輝

■光触媒ハイブリットナノ粒子を利用した水浄化・抗菌システムの開発

・研究期間
2018年8月1日~2019年2月28日
・研究代表者
教職員:応用化学科 伴 雅人
学生:創造システム工学科4年 中嶋悠登
創造システム工学科3年 冨樫秀

■リサイクル炭素繊維を用いた水質浄化の新たな試み

・研究期間
2018年7月1日~2019年6月30日
・研究代表者
教職員:応用化学科 内田 祐一 、ものづくり環境学科 雨宮 隆
学生:ものづくり環境学科4年 城島航大、森田敬登、細野芽依
ものづくり環境学科3年 青木裕治、平良けんじ、八木祐次