日本工業大学 NIPPON INSTITUTE OF TECHNOLOGY

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日本工大の取り組み

環境分野研究奨励助成金制度の採択研究一覧環境活動に関する資料

優れた環境保全の研究に対して、助成金を支給

教職員、学生、学外者の枠を超えた共同研究体制として、保護者の会である後援会のご支援により設置された「環境分野研究奨励助成金制度」は、16年目を迎えました。この間80テーマの研究が取組まれ、学会への発表など社会への発信、環境管理活動への反映等々、着実に成果を収めています。平成28年度採択研究の成果報告と、平成29年度採択テーマをお知らせします。

平成28年度 研究成果報告(抄) 助成金額(総額100万円)

▲実験結果グラフ

▲実験結果グラフ

写真㈰磁性流体放電

▲磁性流体放電

■磁性流体のスパイク現象を用いた
ディーゼル微粒子除去フィルタの開発

・研究期間
平成28.1 ~平成29.7
・研究代表者
ものづくり環境学科
准教授 桑原拓也
ものづくり環境学科
4年 浅子晋介、菊池拓哉
3年 岡村拓郎、服部 良

PM2.5の要因であるディーゼル微粒子は問題視されている。しかし、ディーゼルエンジンには燃料のエネルギー密度の高さ、燃費の良さ、CO2排出量が比較的少ないなどのメリットもあり普及している。対策としてディーゼル微粒子フィルタ(DPF)の利用があるものの、圧力損失が大きく、エンジンの燃料消費率も高くなるという欠点がある。放電や静電気力による捕集は微粒子捕集に効果的であるが、電気抵抗率の低い炭素成分のPMでは再飛散現象が生じ上手く捕集できない。
 以上の背景のもと、排ガス流路内に磁性流体を磁力により固定すると同時にプラズマ放電する磁性流体スパイクを起こし界面表面積を大きくして排ガス微粒子を低圧力損失で再飛散なく捕集する方法を提案した。微粒子捕集に効果的な静電気力と再飛散の問題を回避する液膜捕集を合わせた方式である。排ガス流路において、磁性流体フィルタの後方にメンブレンフィルタを設置し、メンブレンフィルタを通過する排ガス流量を計測することで磁性流体の捕集能力を評価し、その効果が認められた。

▲写真:水質浄化実験水槽

▲写真:水質浄化実験水槽

▲図:実験槽内の循環水流によるCODの低減効果

▲図:実験槽内の循環水流による
CODの低減効果

■ホ炭素繊維を用いた食堂排水浄化関する研究

・研究期間
平成28.10~平成29.9
・研究代表者
ものづくり環境学科
教授 雨宮 隆
ものづくり環境学科
4年 白石健太
3年 野村光汰、田邊佳祐、宮 諒平

 食堂の排水は食品や洗剤の影響を含むため、汚濁の指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)が一般に高い。当大学での定期的な測定でも自主排水基準を超えることが度々となっており、何らかの改善対策が望まれている。この研究では、炭素繊維を用いた排水浄化を試みた。炭素繊維が水中で生物膜を形成し、付着した微生物が有機的な汚れを分解する。本研究では、炭素繊維の水中での広がり、曝気や流水循環により浄化効果がどのように向上するかを実験で確かめた。  その結果、5~7日の排水の滞留は必要であるものの、少量の水流、曝気を加えただけで高い排水浄化効果が得られることがわかった。初期の排水濃度に関わらずCOD濃度が5日目までに約70%低減、7日目までに約80%低減するとの結果を得た。また、炭素繊維の繰り返し使用実験では、10回(10週)の再利用でも浄化効果の低下はなかった。いったん微生物の付着が始まれば、長期にわたり浄化効果を持ち続けると予想される。  一連の実験から、工業用炭素繊維という簡易な手法により食堂排水のCODレベルの低減が効果的に行えることが明らかになった。

▲LED照射デバイスの開発

▲LED照射デバイスの開発

▲システム構成

▲システム構成 

■LED水耕栽培における無線端末制御を活用した融合型教材の提案

・研究期間
平成28.8~平成29.78
・研究代表者
電気電子工学科
教授 平栗健史
電気電子工学科
4年 武藤卓徳
2年 大谷花音、伊達隆人

 本研究では、中学校 技術・家庭科(技術分野)の「生物育成に関する技術」及び「情報工学に関する技術」の融合型教材となり得る無線遠隔制御によるLED水耕栽培システムの開発を行った。このシステムにより、植物の育成術、プログラミングによる制御、デジタル作品の設計等の複数分野の学習が可能となる。
 開発したシステムを用いて、今回はレタスを栽培し、LED照度調整によって成長が顕著に得られる結果となった。また温度計測については、無線モジュールZigBeeより計測したデータを制御コンピュータに送信することに成功している。加えて気象データの取得にも成功し、それらをアプリケーションで表示させることで視覚的に捉えやすく、無線遠隔操作で容易に制御できるシステムとなった。この開発システムは、学習者が自由にカスタマイズし、レタスに限らず様々な植物の育成を体験できる。また今回開発した教材を用いることにより、植物育成に関する技術と情報科学に関する技術を同時に学ぶことが可能となり、学習者が植物育成を通して興味、関心を高めることが期待できる。

▲実験装置

▲実験装置

▲実験装置

■植物の水分状態モニターの開発

・研究期間
平成28.9~平成29.8
・研究代表者
創造システム工学科
准教授 秋元俊成
創造システム工学科
4年 根岸智哉、野口浩貴
3年 丸山恵佑、日野燦一、千場 翔

  植物を育成する事は地球温暖化防止にもつながる。しかし、毎日の水やりが大変であったりどの程度水を与えればよいかが分かりづらかったりといった課題がある。これに対し、植物の水分状態が把握できればより最適な形での水やりが可能となる。本研究では、電波を用いて植物の水分状態を簡易に計測できる手法について開発を目指し、実験を行った。実験には指向性のアンテナを利用し、水を透過させた際の電波の減衰状態を利用して水分量を推定するシステムを作成した。簡易的に水分量を変化させるために、ペットボトルや水槽を用いて水量を変えて、透過した電波の受信強度の測定実験を行った。実験の結果、水量の上昇に応じて、電波の減衰が大きくなり、電波受信強度の低下が確認できた。ただし、その変化は植物の水分状態の変化に対して非常に小さく、電波の反射や回折の影響が大きく出てしまう結果となった。水量の大きい変化であれば捉える事が出来ているので、今後も装置の改良を行い、高精度化を行う予定である。

▲図1:装置概要図

▲図1:装置概要図 

▲図2:マイクロ流路

▲図2:マイクロ流路

■超低コスト・低環境負荷のカード式 化学分析装置の開発

・研究期間
平成28.8~平成29.7
・研究代表者
創造システム工学科
准教授 池添泰弘
創造システム工学科
4年 浜崎祐介、大森一輝、岡野佑亮、種部千遥、菅谷将之、武捨秀紀

  微粒子の性質は形状やサイズによって大きく左右されます。したがって、所望の性質を持つ粒子を得るには微粒子を分離精製しなければなりません。現在の主流技術はクロマトグラフィーですが、高価で巨大な装置になります。そこで、私たちはマイクロチップを利用して安価で小型の分離装置を開発することを試みました。ここでは、以前プラスチック材料の磁気分離装置を開発したときの知見を応用していて、粒子は磁気力によって分離されます。図1は装置概要図です。5cm x7cmのチップ上に、長さ14mもの細い流路(幅100µm)が形成されていて、その下にS/Nが互い違いになるように幅2 mmの磁石が30個並べられています。図2は流路の中にサンプル液体を流した時の写真です。磁場分布のシミュレーションから、磁石上0.2mm程度の領域では、超電導磁石(リニアモーターカーに使われているもの)に匹敵する磁気力が発生することがわかりました。本研究については、すでに応用物理学会などで発表できるまでになりました。

平成29年度 環境分野研究奨励助成金採択研究テーマ (総額100万円)

■落雷および音波を用いた外的刺激によるシイタケ栽培促進法の確立

・研究期間
平成29年8月1日~平成30年7月31日
・研究代表者
電気電子通信工学科 教授 平栗健史
教職員:電気電子通信工学科 助教 大田健紘、助教 進藤卓也 
学 生:電気電子工学科4年 大和田雅也、3年 伊達隆人、2年 駒澤雅玖人

■本館~14号館間にある池の景観改善に関する研究

・研究期間
平成29年7月1日~平成30年6月30日
・研究代表者
建築学科3年 荒井 達喜(学生)
教職員:オブザーバー:生活環境デザインコース  准教授 樋口佳樹 
学 生:建築学科3年 妻鳥光洋、里見勇飛、古谷宏貴、綱中怜也、
平野雄大、濱口聡史、弦巻勇輝、玉田慶吾、西口祐乃

■ウルトラファインバブルによる大学構内床の洗浄を実現する環境に優しい装置の開発

・研究期間
平成29年8月1日~平成30年3月31日
・研究代表者
機械工学科 教授 二ノ宮 進一
学 生:機械工学科修士1年 長倉智史(リーダー)、邱鵔皓(サブ)
機械工学科修士2年 土屋俊一、塩島亜木斗
機械工学科4年 石川光祐、田中竣哉、春日啓汰、柳澤輝一、川内勇輝、古澤吉泰
機械工学科3年 村本結衣、雨宮裕貴

■蒸気機関車でのバイオコークス使用に向けたライブスチームでの評価・分析の研究

・研究期間
平成29年8月1日~平成30年7月31日
・研究代表者
創造システム工学科 2年 奈良勇輝(学生)
教職員:オブザーバー:共通教育学群 教授 八木田浩史 
応用化学科 教授 渡部修一、工業技術博物館職員 五月女浩樹
学 生:機械工学科2年 阿部恵彦、 植木悟、遠藤将太

■低環境負荷な高分子合成システムの開発

・研究期間
平成29年8月1日~平成29年12月20日
・研究代表者
創造システム工学科 准教授 秋元俊成
学 生:創造システム工学科 3年 坂下晃太郎、佐々木一成、土谷尚弘、渡邉侑弥

■大学排水中のリン含有量調査とそれを通じたリン回収資源化プロセス提案の試み

・研究期間
平成29年8月1日~平成30年7月31日
・研究代表者
応用化学科 教授 内田祐一
学 生:ものづくり環境学科 3年 飯泉了大、江里川敦也、大倉野宇士
野島功名、細野芽依、渡邊知穂