日本工業大学 NIPPON INSTITUTE OF TECHNOLOGY

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教育力・研究力

教育改革シンポジウム

第57回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)
金沢工業大学における教育改革
-自ら考え行動する技術者の育成-
開催報告
平成31年2月26日開催
金沢工業大学における教育改革の歩みを解説いただく

金沢工業大学名誉学長・石川 憲一 先生をお迎えし、同大学の設立からの歩みから現状、とくにこれまで実践した教育改革の諸取組を中心にご講演いただいた。趣旨等は以下のとおり。

(指針)

1994年6月、第5代学長に就任時「学生主役の大学の創成」を根幹に据え、学生(知識から知恵(応用力)に)、教員(学生が自ら学ぶ教育の実践)、職員(顧客満足度の向上)それぞれの行動目標を定めた学長宣言とビジョンを策定。第2代学長・京藤 睦重 先生の「私心を捨て、成功するまで教育改革に取り組め」との薫陶が自らの行動指針であり、原動力でもあった。

(推移)

教員には採用時に能力(パワー)の配分比率(教育5:研究3:社会貢献2)を示し、全学で教育改革に取り組む土壌を形成。基礎教育も軽視せず重視(学長が基礎教育部長を兼任)。在任時には下記のとおり5次にわたる教育改革を順次推進。

第1次(1995年): 改革の方向性を定義。新学科設置、新たな教育システムの開発(目的指向型カリキュラムなど)を考案。並行し教職員の意識改革(米国大学等を視察)を促す。
第2次(2000年): 1学部7学系13学科へ改組、JABEE受審、認定。
第3次(2004年): 3学部15学科へ改組、社会人を対象とする1年制大学院(虎ノ門キャンパス)および大学院修士課程臨床心理学専攻を設置。理工系総合大学としての発展と充実を目指す。
第4次(2008年): 4学部14学科へ改組、バイオ・化学部設置。大学院改革もスタート。
第5次(2012年): アドミッション・カリキュラム・ディプロマ 各ポリシーの確立。基礎教育と専門教育の融合。メジャー・サブメジャー制度導入。

(教育の「見える化」と質保証)

正課教育と正課外教育(課外活動)との相乗効果(学力X人間力=総合力)によって自ら考え行動する技術者の育成を目指し、シラバスの充実(何ができるようになるかを明らかに)、成績評価方法の確立(総合力評価CLIP導入)を実践。学生が自らの気づきや振り返りから意欲と自己変革を引き出せるように、ポートフォリオシステムも整備。

KIT教育の主柱をなすプロジェクトデザイン教育(一義的な正解が決まらない解が多様な問題への取組や、チームプレーを通じた問題発見と解決)、学習支援体制の整備(数理工教育研究センターや時間外の質問体制(おタスケケータイ)、夢考房プロジェクトなど)、「進路指導は教育の一環」としてキャリアデザイン教育や就職支援(人材開発セミナーの開催や就職支援バスの運行など)の充実を図った。

(今後に向けて)

第6代・大澤 敏 学長のもと、分野・文化・世代を超えた「共創教育」の提唱と展開、2019年度より初年次からのAI教育の導入、2020年度から開講科目の50%を英語による授業実施など、教育改革を絶え間なく展開していく。

(講演を終えて)

教育改革シンポジウム終了後、石川先生には本学施設を見学いただき、17:00より懇親会を開催(参加者24名)。本学教職員からの質疑にも石川先生は丁寧にご回答いただき、盛会裏に終了した。

金沢工業大学を我が国の教育改革におけるトップランナーたり得る存在までに牽引した石川先生のご講演は、教育改革の検討から実践、そして検証までの道筋をいかんなく披露いただき、本学教職員にわかりやすく解説いただいたものであった。教育改革はトップダウン方式だけでなし得るものではなく、教職員一体となり「学生が主体的に学び行動できるように」という視座をもってこそ、達成できるものであることを痛感した。


石川 憲一 先生

シンポジウム風景
第58回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)
授業評価2018
「教育目的を達成する授業とは」
平成31年3月5日開催
1.はじめに

 本学では、授業の改善と学習成果の向上を目指し、「学生による授業評価アンケート」および「教職員による授業参観/相互評価」を実施しております。
 今年度の授業評価結果の分析および特徴ある授業について紹介し、本学の教育改革をどのように進めるべきかを考えるきっかけを目指す教育改革シンポジウムを、3月5日(火)に学内で開催しました。

2.教育改革シンポジウムの概要

 IR室長 神雅彦教授 より、「2018年度の授業評価の概要」として、はじめに本学における教育目的とステークホルダーを取り巻く環境の現状等についての把握がなされた。また、文部科学省が掲げる学力の三要素を踏まえた本学の教育への取組みとその検証のための教職員による授業参観・相互評価、及び学生による授業評価アンケート調査の取組みについて、解説がなされた。さらに、次年度に向けた本学教育の点検及び改善方法等の計画について紹介がなされた。
 続いて、「学生による授業評価アンケートおよび教職員による授業参観結果の分析」をテーマに、IR室 中村 久美子 より2018年度授業アンケート調査の分析結果の概要、春学期調査分析の詳細について説明がなされた。GPAの高い学生のアンケート回答率が比較的高い傾向にあること、また特色ある取組み科目の例として、情報工学科のアクティブラーニング科目、建築学科の設計・製図科目が、他の専門科目と比べてアンケート結果が高評価であったことが示された。さらに、授業参観を通しての教職員から見た魅力ある授業の取組み例が報告された。
 次に、学生による授業評価アンケート及び教職員の授業参観結果において指標ごとに評価ポイントが高かった先生方より、授業の紹介やデモンストレーション等が行われた。

モデレーター 共通教育学群 衛藤 和文

(1)「自己理解と対人関係の心理学」での取組み 共通教育学群 瀧ヶ崎 隆司
(2)「流体の力学」授業紹介
―「わかるとは何か」を意識しながら―
機械工学科 瀧澤 英男
(3)「教育用匿名チャットボード"Outis"を用いた授業展開とその方法」 共通教育学群 南谷 奉良
(4)「教育心理学の知見を用いた教育心理学の授業構成」 共通教育学群 山口 剛

 最後に、2018年度特別研究費 教育プログラム開発費「アクティブラーニングに関する研究」について、下記の題目で報告がなされた。

「学生の主体性と対話力・表現力を高めるアクティブラーニング」
―授業実践とワーキンググループの成果と課題―
共通教育学群 松井 克典

神教授による解説

南谷先生による授業紹介
3.今後に向けて

 今回の教育改革シンポジウムでは、学生による授業アンケート調査の動向と現状について、種々の情報を共有することができました。また、教職員から高評価された授業の取組みの紹介は、本学の授業の改善と質向上の一助になるものと期待されます。
 特色ある科目としてのアクティブラーニング科目や学生それぞれに1台の製図台が与えられる設計製図関連科目に対する学生の授業評価が、いずれのアンケート項目でも他の専門科目に比べ高評価であったことは、これからのカリキュラム・授業改善への取組みに有用な手がかりになると期待されます。今回得られたこれら知見は、今後検討すべき事項やその方向性を示唆するものであり、これを基に大いに討論を重ねていくことが必要でしょう。

 授業改善をはじめとする教育改革は勿論のこと、学生のサポートやクラブ活動など本学キャンパスにおける学生生活面においても教職員はこれまで以上に注視し、能動的かつ協調して行動できるエンジニアを養成し、社会に輩出することを常に考える必要があります。

 教育改革にゴールはありません。 本学は、今後もPDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)を回し、「実工学教育」をさらに進化させていきます。

作成:IR室