NITトレインラボは、本学教員の研究内容を紹介する場。
東武線全線の「ドア横ポスター」に掲出した内容は、この特設サイトにて動画や写真で詳しくご紹介いたします。
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自分で成長するネットワーク?
つながりが生み出す
新たな可能性を目指す!

先進工学部 情報メディア工学科
複雑系工学研究室
佐藤進也 教授

■システムとネットワーク
 多くのシステムは相互に関連する複数の要素から構成されています。システムを理解するうえで、この要素どうしのつながり、すなわちネットワークを理解することは重要です。例えば、社会というシステムでは人間のネットワークが重要な役割を果たしています。また、脳というシステムでは神経細胞のネットワークが知能という高度な機能を生み出しています。

■ネットワークと創発
 個々の神経細胞の動作は単純だと言われています。しかし、それが相互に結びつくことにより、知能という、神経細胞とは桁違いに複雑で高度な機能が創り出されています。この単純なものから複雑なものを生み出す「創発」のメカニズムはまだ解明されていませんが、その謎を解く有力な手がかりとしてネットワークが注目されています。

■ネットワーク上の信号伝播の解析
 ネットワークをより深く理解するため、本研究室では、様々な解析を試みています。動画は、あるネットワーク上で信号が伝播している様子を可視化したものです。なんとなく生き物にも似た、面白いパターンが現れているのではないでしょうか。ネットワークの構造的特徴が変わると、パターンも変わります。つまり、このパターンはネットワークの構造が生み出したものであると言えるでしょう。この研究では、ネットワークの特徴と信号の変動パターンを対応づけて、ネットワークの分類や構造的最適化などに応用することを目指しています。
ネットワーク上の信号伝播
自転車以上でバイク未満?
一人乗りの乗り物が
自動で走る社会を目指す!

先進工学部 ロボティクス学科
知能交通システム研究室
鈴木宏典 教授

 一人乗りの「自動運転型パーソナルモビリティ」の開発に取り組んでいます。例えば、自宅からパーソナルモビリティを手動で運転して、最寄りのバス停まで行くことを考えます。バス停では、パーソナルモビリティを乗り捨てます。スマートフォンでアプリを起動し、「回送」のボタンを押すと、パーソナルモビリティは自動で自宅まで戻ってくれます。駐車しておく必要はありません。帰宅する時は、バスの中でスマートフォンのアプリを起動し、「お迎え」のボタンを押します。すると、バスがバス停に到着した時にはすでに、自動で走行してきたパーソナルモビリティが、バス停でみなさんを待っているはずです。

 このような交通社会の実現に向けて、埼玉県川口市やコンサルタント会社、ベンチャー企業等と共同で、動画にあるような自動運転型パーソナルモビリティを開発しています。自動走行の仕組みは以下の通りです。

(1)コの字型のルート(動画参照)を予めパーソナルモビリティに読み込ませておきます。
(2)パーソナルモビリティに搭載されたRTK-GNSS(汎地球測位航法衛星システム)で、緯度と経度を計測します。
(3)後輪に取り付けたエンコーダで車体の速度を計測します。また、機体に取り付けたジャイロセンサで方位角速度を計測します。
(4)車体の速度、方位角速度をコンピュータに入力し、計測された緯度と経度を使って、拡張カルマンフィルタと呼ばれる手法を使い、実際の位置と方位角を計算します。
(5)正しい位置と方位角がわかりましたので、(1)のルートから外れないように、機体を制御します(PI制御と呼ばれる手法を使います)。  

しかし、実際の街は、動画のように優れた環境ばかりではありません。RTK-GNSSは建物や樹木の近くでは精度が低下します。水蒸気も精度に影響しますから、天候にも左右されます。このような場所では、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)と呼ばれる計測器を使い、機体が自分自身で地図を作りつつも、自分の位置を推定して走行する手法(SLAM; Simultaneous Localization and Mappingと呼ばれます)を使う必要もあります。

 克服するべき課題はまだたくさんあります。このような自動運転型のロボットをぜひ一緒に開発しませんか。そして、これからの交通社会に役立つ研究をみなさんと一緒にできることを期待しています。
パーソナルモビリティの自動運転
植物は、どうやって太陽に向かって伸びる?
光のエネルギーを、効率的に獲得せよ!

基幹工学部 応用化学科
植物生産工学研究室
芳賀健 准教授

 植物の茎は、光に向かって伸びる性質があります(【写真】参照)。光合成に必要な太陽の光エネルギーを効率的に獲得するために、このような反応(光屈性と呼びます)を植物は利用しています。光屈性については古くから研究され、青い光によって誘導されること【動画1】、植物ホルモンの1つであるオーキシンが重要な働きをしていることなどが明らかにされています。

 現在、どの遺伝子がどのように働いているかを、シロイヌナズナなどのモデル植物を用いて調べられていますが、まだまだ分からないことがたくさんあります。遺伝子の働きを調べる上で有効なのが、突然変異体の利用になります。突然変異体とは、遺伝子に異常を示す個体です。例えば、ある光屈性の突然変異体では、全く光に反応しません【動画2】。私の研究室では、このような突然変異体の性質を詳しく調べることで、光屈性に関係する遺伝子の働きを明らかにしようとしています。

 【写真】は自生しているシロイヌナズナ。太陽に向かって伸びている様子が分かると思います(太陽は右上にあります)。

 【動画1】はシロイヌナズナを用いた室内での実験。暗闇で育てると、シロイヌナズナもモヤシのように育ちます。画面の右側から青い光をあてると、光の方向に曲がって伸びる様子が分かると思います。この動画では、一般的なシロイヌナズナ(野生型と呼びます)を使用しています。

 【動画2】は突然変異体を用いた実験。野生型のシロイヌナズナを画面向かって左から1番目と3番目に、青い光を感じることができないシロイヌナズナの突然変異体を2番目と4番目に置いています。野生型では光に向かって曲がる反応を示していますが、突然変異体では青い光を感じることができないので、上に伸びている様子が確認できると思います。遺伝子の機能を明らかにするうえで、このような突然変異体は非常に重要なツールとなっています。

【写真】自生しているシロイヌナズナ
【動画1】シロイヌナズナを用いた室内での実験
【動画2】突然変異体を用いた実験
未来を照らす新素材「カーボンナノチューブ」 を安く、手軽に、均一に作り出す!

基幹工学部 電気電子通信工学科
先端材料/電子物性研究室
石川 豊 教授

 カーボンナノチューブは、炭素だけでできた、ナノメートルサイズの直径(髪の毛の約一万分の一)を持った筒状の材料です。21世紀の産業の基盤を成す材料と言われていて、大変有望視されています。
 
 写真1と写真2は、シリコン(半導体)の板の上に、カーボンナノチューブを成長させ、板の横方向から電子顕微鏡で撮影したものです。写真1は、低密度の成長で、これを上から(表面側から)見ると、パスタをお皿に盛ったように見えます。しかし、これでは応用が利きません。それに対して、写真2は、高密度のため互いに支え合い、下地の板から垂直方向へブラシの毛のように成長しています。これは、未来の電子デバイスを中心に応用の可能性を感じさせるものです。写真2は、450℃での成長ですが、さらに低温化できれば、応用は広がります。例えば、ガラスやプラスチックなど耐熱性の低い材料が壊れない温度で成長できれば、どうなるでしょう。写真3-1は、写真2の試料の表面に水滴を垂らし、真横から撮影したものです。写真3-2のカーボンナノチューブのないシリコン板上に直接垂らしたものに対して、強力に水を弾いていることがわかります。水に濡れては困る物の性質を大きく変える効果もあるのです。今は、低温で高密度に性質の揃ったカーボンナノチューブを成長させ、LSIなどの電子デバイスへの応用を目論んでいます。

 では、どうやって成長させるか。既存の装置なら成長は簡単ですが、あえて自分たちで装置を組み立てて、手作り感のある装置で成長させています。いくらでも工夫ができる、つまり、アイデアを生かせるわけです。これによって、低温高密度成長を実現します。原料にはアルコールを使います。カーボンナノチューブの純度を高くできることと、実験の安全性を高めるためです。また、安く生成できる利点もあります。

 ところで、私の趣味は山登りです。研究は山登りに似ています。山頂は見えていても、ルートは自分で探します。試行錯誤の果てに道に迷い、なかなか山頂にたどり着けませんが、苦労する中でルートファインディングが上達し、いつしか山頂に辿り着いた時の達成感は、何物にも代えがたいものです。皆さんも、大学で学び、是非本物の研究を体験して、一回りもふた回りも、大きく成長してください。
【写真1】
シリコンウェハーの上に400℃ 30分で成長させた単層カーボンナノチューブによる膜の断面電子顕微鏡写真。厚さは0.2μm
【写真2】
シリコンウェハー表面に450℃ 30分で成長させた単層カーボンナノチューブ膜の、断面電子顕微鏡写真(垂直配向成長)。厚さは3μm
【写真3-1】
写真2のシリコンウェハー表面に水滴を垂らして側面から撮影したもの。単層カーボンナノチューブの膜により、高撥水性が得られた。
【写真3-2】
単層カーボンナノチューブのない通常のシリコンウェハー表面に水滴を垂らして側面から撮影したもの。
超高感度のバイオセンサは「ラムネ瓶に入ったビー玉」が可能にする!

基幹工学部 機械工学科
微細デバイス研究室
加藤史仁 准教授

■水晶振動子バイオセンサ
 例えば、夜に鳴り響く除夜の鐘に虫が止まったとしましょう。もちろん鐘の音色は変化しません。しかし、鐘の大きさが虫よりも小さかったらどうでしょう。皆さんもお分かりの通り、鐘の音色は変化し、場合によっては、直ちに鐘の音が止まってしまうかもしれません。こうした鐘の音色の変化(振動の変化)に着目した素子が水晶振動子バイオセンサです。水晶を薄く・小さくして、表面に抗体(身体の中に入ってきた悪い成分と反応するもの)を固定化しておきます。水晶は、一定の周期で振動する特性を持っているので、鐘と同様に振動させておき、抗原(細菌やウイルスなどの悪い成分)が水晶表面にやってくると、抗体が抗原を捕まえます。すると、水晶は重くなり、振動が変化します。この変化から、親和性(抗原と抗体の相性)を定量化できます。身体への負担の少ない抗体薬剤の創薬には、こうした親和性の定量化が重要となってきます。

■ラムネ構造のバイオセンサ
 お祭りで見かけるラムネの瓶には、ビー玉が入っています。ラムネを飲む時、上手に飲まなければ、ビー玉が移動して飲むことができない・・・そんな苦労をしたことはありませんか?この面倒な体験がきっかけで、誕生したセンサが、『ラムネ型バイオセンサ』です。このセンサは、指先に乗る程度のガラスチップの内部に、薄く・小さくした水晶を閉じ込めた構造をしています。そして、水晶は、チップ内部で、自由に動き回れる。それは、まるでラムネ瓶の中のビー玉のように。一般的な水晶振動子バイオセンサは、水晶がジグで機械的に固定されており、更なる高感度化のために、水晶をより薄く・小さくすると、取り付ける際、破損してしまいます。一方、ラムネ型バイオセンサは、機械的固定部が無いため、水晶をより薄く・小さくすることができます。その結果、既存の水晶振動子バイオセンサを遥かに上まわる高感度化が実現できています。

■高感度センサを研究するための特別な空間 『クリーンルーム』
 ラムネ型バイオセンサの研究には、特別な空間が必要です。それは、『塵埃がほとんど無いクリーンな空間』です。この空間は、『クリーンルーム』と呼ばれています。どれほどクリーンかというと、1立法フィート(約30×30×30 cm3)中におけるサイズ0.5μm(1μmは、1mmの1000分の1の大きさ)の塵埃が、1000個以内です。例えば、我々の日常の空間には、1,000,000個以上の塵埃が飛び交っています。このような、塵埃の多い空間では、微細かつ精密な構造のラムネ型バイオセンサを製作することができません。そのため、高性能クリーンルームを設置し、ラムネ型バイオセンサの研究に加えて、米粒よりも小さい高性能かつ高機能なセンサやアクチュエータに関する研究を推進するための環境を整えています。

■何もない“ゼロ”の状態から、発想して“モノ”を創り出そう!
 誰も思いつかない独自のアイデアを具現化し、それを人々に提供することで喜んで頂く。そんな素晴らしい体験ができる学問が工学です。日本工業大学における学びや研究を通じて、工学の素晴らしさを一緒に堪能してみませんか!

微細デバイス研究室(加藤研究室)

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