日本工業大学

SDGs関連研究

2022/01/12

生活と産業のほぼすべてで活躍する、オンリーワンの研究

img04-03-1.jpg 電車のパンタグラフ、自動車に搭載された何百個ものモータ、そして人工衛星、家電、医療機器、発電機などなど、電気で駆動する機構に使われているものに「ブラシ」があります。
 動いているものに電流を流す接点部で、目にふれることはなくても、日々の生活で、産業活動で、欠かすことのできない、生きることほぼすべての場面で必要とされるインフラです。
 ブラシは可動部と擦れるので摩耗します。私たちは、摩耗しにくく接触の信頼性が高い材質とするため、基礎研究を行っています。
 基礎研究というと実用化が遠い先と思う人もいるかもしれませんが、私たちは、ブラシの摩耗に課題を抱える事業者などに、どのような材料の配合や潤滑剤がよいのか等のデータを提供し、電気ロスの低減、電力の安定供給に役立てられています。
 使用環境は、ガソリンの中、氷点下、宇宙空間の真空状態と様々です。近年取り組みが進んでいる再生可能エネルギーの洋上風力発電をはじめ、メンテナンスフリーがますます求められています。
 ブラシの研究をメインテーマとして続けているのは、日本の大学で今や私たちの研究室だけではないでしょうか。強靭なインフラ、包摂的で持続可能な産業化の促進には不可欠で、SDGsのもっとも重要な柱である平和構築にこそ貢献すると思います。学生たちも使命感をもって、オンリーワンの研究に取り組んでいます。

基幹工学部 電気電子通信工学科
上野貴博教授

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