日本工業大学

SDGs関連研究

2022/01/12

光る銅で、脱炭素へ

img04-05-1.jpg 照明器具として、白熱灯の電球、蛍光灯、LEDなどがよく知られています。白熱灯はフィラメントを燃やすことで光を出しますが、その際、電気エネルギーから光のエネルギーに変換されるのは約10%です。プラズマを発生させる蛍光灯では約20%ですが、水銀を用いているためすでに規制の対象となっています。一方、省エネ効果の高いLEDでも変換率は50~60%、残りのエネルギーは熱となって逃げます。
 液晶ディスプレイはバックライトを用いる構造上、有機ELに比べ多くの電力を消費します。パソコンの消費電力の半分は液晶ディスプレイが占めています。
 エネルギー変換率の高い有機ELに期待が寄せられ世界で研究されていますが、希少金属を必要とするため、高価なのがネックとなっています。
 GOAL9が掲げる強靭なインフラ構築として、電力不足の地域にも災害時にも対応可能な、より省電力のデバイスが求められています。
 私たちは、希少金属ではなく、安くて安定供給できる銅を利用し、効率よくエネルギーを光に変える研究を進めています。さらに発光の際に分子が動くと余分なエネルギーを消費するので、動くことができない剛直な分子構造の設計に試行錯誤しています。分子レベルで物質をつくる合成化学の分野です。
 商用化には周辺技術の確立など課題もありますが、再生可能エネルギーで多くを賄えるようになり、脱炭素が可能となるでしょう。

基幹工学部 応用化学科
大澤正久教授

NIT SDGs 一覧へ