日本工業大学

SDGs関連研究

2022/07/04

静電気を利用した害虫防除技術に関する研究

 流通する生鮮野菜は、葉や実の傷は商品価値の著しい低下をもたらします。そのため、生産者は、農作物を加害する動植物の駆除や防除として、規制の範囲内で各種の農薬を用いています。
 本研究では、農薬に依存せずに安心して生産できる農業技術の普及を目指し、静電塗装の原理を応用した静電気による害虫防除技術に関する研究に取り組みました。
 本研究で用いた供試害虫は、葉物野菜によく寄生するモモアカアブラムシとしました。供試害虫をシャーレに入れ、その直上に多数の針で構成した剣山型電極を配置しました(図1)。電極間隔や印加電圧を種々変化させ、それぞれの条件において1時間印加し、無印加区と電圧印加区での害虫の忌避効果を調査しました。その結果、電界強度を0.5kV/mm以上とすることで効果的な防除が行えることが明らかとなりました(図2)。モモアカアブラムシの触角の第3節には複数の二次感覚孔を備えており、電界強度が高くなるにつれ、二次感覚孔への刺激により、忌避行動を示すものと推測されます。

 

図1_実験装置.jpg
図1:実験装置

 

図2_電圧印加による害虫の忌避効果.jpg

図2:電圧印加による害虫の忌避効果

基幹工学部 電気電子通信工学科
清水博幸 准教授

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