日本工業大学

SDGs関連研究

2023/07/18

廃プラスチックを利用した水素とナノカーボン材料の併産技術の基礎検討

廃プラスチックの分解ガスの成分であるCH₄、CO、CO₂を混合した模擬ガスを用い、ナノカーボン生成と水素ガス生成に及ぼす各成分の影響を基礎的に調査しました。抵抗加熱炉に装入した反応管内に混合ガスを流通させ、管内に設置したアルミナ片の表面にナノカーボンを付着させました。反応管から流出したガスは採取し組成分析を行いました。 

表1に示す条件で実験を行いました。全ての実験でアルミナ片の設置位置の温度は860℃としました。実験後にアルミナ片に付着したナノカーボンのSEM観察を行いました。

実験後のガス組成を表1、ナノカーボンの写真を図1~3に示します。実験A(CH₄のみ)および実験B(CH₄+20%CO)では繊維状のナノカーボン(数百nm径)が生成しました。実験C(CH₄+ 20%CO₂)では、粒状のカーボンブラックが生成しました。一方、出側ガス中のH₂濃度は実験A、B、Cの順に低下しました。

今回の実験結果からは、原料ガス中のCO₂の有無により形態の異なるナノカーボンが生成し、かつCO₂の無い場合に出側ガスとして利用価値の高い水素やCOが多く得られる可能性が認められました。このような基礎知見をさらに追究することで、廃プラスチックから有用素材やガスを得るためのプロセス学理の確立が期待されます。

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  • 図1実験Aのナノカーボン(30000倍).jpg
    ▲図1:実験Aのナノカーボン(30000倍)
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    ▲図2:実験Bのナノカーボン(30000倍)
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    ▲図3:実験Cのナノカーボン(30000倍)

基幹工学部 応用化学科 内田祐一 教授

◆学生◆
内田研究室の所属学生12名(4年生5名、3年生7名)

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