SDGs関連研究
2024/06/13
浮遊物体に作用する浮力と重力を用いた潮汐発電
再生可能エネルギーの利用については、太陽光や風力を中心に世界各地の地域性に適した取り組みが進められている。日本においても同様であるが、島国日本の地域性を考えるとやはり海洋エネルギーに目を向けるべきであろう。海洋エネルギーには、海流、波、潮汐、塩分濃度、海水の温度差などに着目したものがあるが、本活動では潮汐現象を利用した海洋エネルギー回収装置に関する研究を行った。潮汐現象を利用する場合、一般的には干満差の大きな海域が有利とされ、フランス・ブルターニュ地方ランス川河口のランス潮汐発電所が有名である。しかし、発電方法は山間部に建設された水力発電所と同じく水流によりタービンを回すというありきたりの手法であり、河口を堰き止めたことによる環境破壊も発生している。一方、本活動では船舶などの浮遊物体の陸地に対する高さが潮汐現象に合わせて変動することを利用した。動きが非常に遅いので変化に気付きにくいが、干潮時よりも満潮時の方が浮遊物体の重力による位置エネルギーは確実に増加している。このエネルギーは、干満差だけではなく浮遊物体の排水量(浮力)によっても増減するエネルギーである。そこで、干潮から満潮へと移行する時間帯は浮遊物体に作用する浮力による仕事を、満潮時から干潮時へと移行する時間帯は浮遊物体に作用する重力による仕事を回収することが可能な仕組みを発案した。塩ビパイプを利用して試作装置を作製し、実際に海岸にて動作試験を行ったところ、多くの知見が得られたと同時にいくつかの課題が明らかになり、実用化に向けて前進することができた。
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増速機の外観 -
動作試験の様子
◆研究期間
2023年4月1日~2024年3月31日
◆担当教員
機械工学科 増本憲泰 講師
◆研究員
増本研協力研究員 山崎裕昌
◆学生
上野誠吾、伊藤敦哉、伊藤勇貴、齋藤寛人、坂原優太、佐藤優多、田村賢治、日向野碧人、松木拓海、中村隼人正(増本研2023年度ゼミ生)