SDGs関連研究
2024/06/13
研究用有機溶媒のリサイクル
我々の身の周りの多くの化学物質は化学の力を利用し、合成されている。今日の物質社会をより豊かに、そしてより便利にするために有機合成は不可欠である。研究室レベルでの化学物質合成実験に目を向けると、合成・精製のために使用された有機溶媒の多くは廃液として捨てられる。そこで本活動では、有機溶媒のリサイクルの可能性について学生と共に考えた。
【実験方法】
1) 使用有機溶媒量の把握:研究室で日常的に行う有機合成(式1, 図1)を一例として各ステップに必要な有機溶媒の量を算出した。
2) 溶媒の回収:各プロセスに使用した有機溶媒をエバポレーター(図2)により回収した。エバポレーターの設定を変えた回収も行った。
3) 回収溶媒の分析:ガスクロマトグラフィー及びNMRによって、回収溶媒の純度を確認すると共に使用前後の各溶媒の成分比を調査した。
【回収結果】
*使用量の一番多いカラムクロマトグラフィーにおける回収結果を以下の表1に示す。

【結論】
・ 溶媒の沸点及び蒸気圧に依存するが、単一溶媒の回収は可能であるが、混合溶媒の場合には組成比変わるため、再利用の際に補正する必要がある。
・ 低沸点溶媒はかなりの割合で大気中に放出されていることから、ドラフトチャンバーの有効性を再認識した。ジエチルエーテルに至っては回収率10%程度であった。

◆研究期間
2023年4月1日~2024年3月31日
◆担当教員
応用化学科 大澤正久 教授
◆学生
大澤研究室 院生2名、4年生4名、3年生1名