日本工業大学

SDGs関連研究

2025/06/13

天然物でつくる薬剤粒子開発

本研究では、イオン性液体を用いて綿をゲル化させるプロセスを開発しました。これにより、セルロースの加工性を向上させ、薬剤粒子形成に適した新素材としてのポテンシャルを探求しました。天然物由来の素材を活用することで、環境への負荷を低減しつつ、安全な薬剤送達システムの構築につながる基礎技術の確立を目的としています。セルロースがイオン性液体に溶解することはよく知られていますが、その溶解性を日常的に使う綿などにも応用できるかを試しました。研究成果として、綿はイオン性液体中で膨潤(溶解)し、そのゲルは水やエタノールといった溶媒に置換してもゲル状態を保っていることがわかりました。この技術により、セルロースの加工性が大幅に向上し、綿を使った薬剤粒子形成の可能性をつかみました。 さらに、天然分子としてポリフェノールを使った粒子形成にもトライしました。ポリフェノールとアミン系の分子を混合することで薬剤を内包した粒子が形成できることがわかりました。アミン化合物もできる限り天然由来の分子を使うようにしました。セルロースもポリフェノールも植物由来の分子のため、環境負荷が小さく、生体内での安全性も高いと考えられます。

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◆研究期間
2024年5月1日~2025年3月31日
◆担当教員
応用化学科 新倉謙一 教授
◆学生
中路千咲(環境共生システム学専攻1年)
吉井陸人、渡邊茉帆(応用化学科4年)

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