日本上代文学

工藤 浩 教授

Laboratory

研究室紹介

仮名表記以前の、8世紀初頭に成立した『古事記』『日本書紀』が研究対象です。本文には、漢字を用いて天皇統治の歴史が示されています。はじめは人の手で書写された写本、江戸時代には木版印刷による版本、洋装本と形を変えて1300年後の今日に伝えられています。

主な研究紹介

『古事記』『日本書紀』の神話・伝説は、神道文化と密接な関係にあります。大嘗祭(だいじょうさい)は、天皇即位儀礼の中心を占める重要な祭祀ですが、祭儀の目的や対象とする神すら明確ではありません。初めて行われたのは、690年の持統天皇即位の際です。天石屋戸神話や天孫降臨神話に登場する神々を祖先とする、中臣・忌部(いんべ)等の祭祀氏族が奉仕したことが、平安以降の儀式書に書かれています。諸事情で15世紀から221年間にわたって途絶えた後、17世紀に再興され、今日に至ります。大嘗宮の悠紀殿(ゆきでん)・主基殿(すきでん)は、伊勢神宮の外宮(げくう)・内宮(ないくう)の正殿と同じ神明造(しんめいづくり)と呼ばれる建築様式を採っています。大嘗祭の成立と再興に、神話や祭祀氏族がどう関わったのかを研究しています。もう一つのテーマが、『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』です。九世紀に物部氏の関係者によって『古事記』『日本書紀』の本文を引用して作られた文献です。物部氏の祖神の降臨と鎮魂祭起源の神話などの独自記事が見られます。写本・版本に遡って調査し、注釈書の編纂作業を進めています。

神明造の社殿

就職活動・大学院進学準備の指導

スチゥーデントアワーには、希望者に小論文、エントリーシートの書き方、教員採用試験対策等の指導を行います。気軽に研究室をお訪ね下さい。