教育心理学・認知心理学

山口 剛 講師

Laboratory

研究室紹介

人がどのように物事の判断を行っているのか。その判断をすることになったきっかけは何か。このような人間の意思決定について、記憶実験などの基礎的なアプローチから、学習方法などの教育実践的なアプローチなど、一つの方法にこだわらずに様々な視点から研究しています。また、人が行動する傾向について説明するやる気(動機づけ)の質や量や、自分自身の認知や行動を把握して調整する高次認知(メタ認知)も取り上げています。

主な研究紹介

学習方略とその規定要因

人は、何かを身につけようとするときに、何らかの方法をとります。勉強している場面では、効率的・効果的に勉強内容を習得するための工夫や計画のことを学習方略といいます。現在では、数々の研究によって習得・習熟に効果的な方略が分かっており、いかにしてその方略を用いるようになれるか、本研究室ではそのような使用を促進する要因を明らかにしようとしています。その中で、その方略が効果的か、面倒かといった認知の側面に注目し、「なぜその方略を用いるのか」といった判断および意思決定の視点から取り組んでいます。また、別の視点として動機づけがあります。動機づけがもつ学習方略の使用への影響も検討していますが、それと同時に動機づけの起因・変化するメカニズムにも注目して研究しています。

記憶成績とメタ認知

上記の学習方略の使用は、教育実践場面に大きく寄与しています。一方で、実践的であるがゆえに様々な剰余変数がそのデータに混入しやすく、種々の条件を統制した(現実とは少し離れた)実験室実験が行う必要がある、と考えています。上記1の内容は調査が主流ですが、もともとは本項2のような実験的なアプローチおよびその知見を活かしたものでした。その中で、本研究室では「その勉強の内容を憶えたと思うか」といった判断や「もう一度勉強する必要があるか」といった意思決定の過程を、メタ認知の視点を中心に取り組んでいます。また、このような判断・意思決定の過程そのものが、記憶成績の向上に寄与する可能性も検討しています。

認知心理学や教育心理学を学びたい学生の皆さんへ

人が物事をどのように知覚するかそしてそれをどのように考えて行動するのか低次の認知過程から(本研究室が主として取り上げている)高次の認知過程はいずれも工学・工業に存分に活かされるものです。またこのような認知心理学はその応用として教育分野にも存分に活かされます。心理学の研究はその性質上個人情報を扱うために研究室へはなかなか気軽に入っていただけないのが現状ですがスチューデントアワーの機会などに質問など積極的に受け付けています。実験や調査を行うこともあるので実際に心理学の研究を体験してくれると嬉しいです。