スポーツシステム・コーチング学

松井 克典 准教授

Laboratory

研究室紹介

【令和スタイルの新しいスポーツマインドへ】
 子どもたちを取り巻くスポーツ指導が大きく変わろうとしています。昭和や平成時代の上意下達の指導者の「俺の言うことを聞け」という指導から、選手自身が主体的に考え、行動し、成果を上げていくというスタイルに変化していっています。また、勝敗ももちろん大切ですが、今まで以上にスポーツの楽しさや素晴らしさを子どもたちに知ってもらい、「スポーツをやってよかった」「もっとスポーツをやりたい」と思ってもらう指導が大切になってきています。そのために、子どもたちが毎日ワクワクして、キラキラした瞳でスポーツに取り組む環境づくりを追求する研究室です。

主な研究紹介

コーチング

 現在、学校現場でも企業でもコーチングという手法が取り入れられています。コーチングとは、コーチが選手に望ましい結果を導くための行動のすべてのことを指します。また高い競技力へと導くことだけではなく、選手の幸福感、満足感をもたせながら、選手や集団が自然とモチベーションアップし、自ら考え自ら行動するしくみを作る行為と捉えています。そのためには対話を繰り返しながら、「自分はどうなりたいか」という選手の内面を引き出し、目標設定をさせ表明し、そのために必要なことを気づかせることが必要です。そうすることを繰り返すとおのずと自ら動き出します。「やらされている」「指示を待っている」ということでは、幸福感や満足感は得られません。自分は何がしたく、どうなりたいのかということを気づかせることが、自発的行動やポジティブな行動につながっていくと考えています。

学修者主体の学び(選手主体の学び)

 コーチングの要素を多分に取り込んでいるのが、アクティブラーニングと言われてきた学修者(選手)主体の学びです。教員やコーチの指示はなるべく最小限にとどめ、双方向のやり取りを繰り返しながら、さらに学修者(選手)が自立して学びを深めていけるようにしていくことです。これは、受動的な学びではなく能動的な学びであるため、知識・技能の定着だけでなく、自己肯定感の醸造、さらなるモチベーションアップに加え、想像力や創造力の育成、現在及び未来のSociaty5.0時代以降の社会人基礎力の育成にも奏功します。

本学でのアクティブラーニングによる授業風景

多様化するスポーツ環境の構築

 スポーツ環境というのは、施設、設備などのインフラ、指導者、大会など運営システム、競技レベルや志向レベルなど様々な観点から考えることができます。日本は伝統的に学校スポーツと企業スポーツにその多くを頼ってきました。しかし、インクルージョンやダイバーシティが叫ばれる中、誰もが参画でき、多様性を認め合い、誰一人取り残さずやりがいをもってスポーツに取り組める環境にイノベーションする時期に来ています。
 そこには、子どもたちのスポーツ離れの要因分析、中学高校の運動部活動改革、新しい観点を持った学び続ける指導者育成などが急務です。昭和・平成の制度疲労や人々の凝り固まった考えや常識を疑い、新しい時代にあったものを構築すべきであり、誰もがワクワクしてスポーツに取り組める環境を社会に提案していきたいと考えています。