技術教育学・情報教育学

本村 猛能 教授

Laboratory

研究室紹介

本研究室は共通教育学群に所属する情報教育を柱とする技術教育研究室です。本学は中学校「技術科」と高等学校専門教科「工業」の免許を所定の単位を取得することで授与されています。これらの免許に必要な科目である「技術科指導法Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」「教育工学」「中学技術の教材開発」をはじめ「教育実習」関係科目を担当しています。本学は「実工学教育」としてその建学の精神を「わが国工業技術の高度化に資しうる有為な人材の育成」ですが、取得できる教員免許は正にその有能な人材を育成するための基礎となる中学・高校生を育てる教員の育成にあります。私の中学・高校教員の経験からして中学・高校の教員には、それぞれの学校段階の教科の専門性と共にその幅広い教養が必要ですが、その基礎には「教育する心」、つまり厳しいが温かい思いやりを持った教育を実践しようとする行動が大切です。このような心で本学の授業に取り組んでいます。

主な研究紹介

国際比較に基づく情報教育・技術教育のカリキュラムの体系化の視点から

研究テーマは我が国の初等中等教育における情報教育のカリキュラムを、学習者の意識や反応に基づいて評価し、今後の情報教育のあり方について検討することを目的としています。そこで、「情報教育の史的過程に即したカリキュラム評価」と「国際的な視野に基づく情報教育のカリキュラム評価」という2つの研究課題を提起しました。これまでの研究の結果、①適切に「情報活用能力」の育成を中核に据えうるカリキュラム構成の重要性、②情報教育の理念を適切に意識した実践を展開できるような教育の体系化と教員を育成するための教員養成や教員研修の重要性、③情報教育に関する国際的にも対応しうるカリキュラムの枠組み明確化する必要性、の3点が見出されました。これらを踏まえた現在の教育におけるテーマは、情報教育を包含する技術教員育成と工業教育の充実、その実践に適切に導入可能な「具体的教材の提案と実践」を行っています。

技術教育、工業教育の実践研究の視点から

2020年度の学習指導要領の改訂では今回、小学校では総合的な学習の時間や外国語、小・中・高校ではプログラミング教育が注目された。その意味では、特に中学校技術科の「情報の技術」のカリキュラムが大きく変わろうとしています。私は、中学校技術科教員の教員をスタートとしてこれまでの35年以上にわたり、高等学校・短期大学校・大学にて技術教育と工業教育を現場サイドと教員養成サイドの両面から研究しています。

-主な著書-
・日本産業技術教育学会・技術教育分科会、森山潤・菊地章・山本利一・本村猛能・角和博他著(2018):技術科教育総論、九州大学出版
・編著:森山潤,菊地章,山崎貞澄,著者(2016):森山潤・菊地章・山崎貞登・山本利一・本村猛能・角和博・工藤雄司・島田和典・他著:イノベーション力を育成する技術・情報教育の展望、ジアース教育新社
-主な論文-
・村上綾香・山本利一・本村猛能・森山潤(2018):Proposal of the lesson include programming techniques as an assistance to the guiding on Arithmetic、10th Biennial International Design and Technology Teacher’s Association Research Conference、Vol.10
・本村猛能他(2017):中学校技術・家庭科「エネルギー変換に関する技術」におけるLEDを活用した教材開発と実践、群馬大学教科教育研究紀要、第16巻第1号、pp.56-62
・小熊良一・本村猛能(2017):日本の小学校・中学校の情報モラル教育に関する教科書,学習指導要領,実態調査報告書の分析、群馬大学教科教育研究紀要、第16巻第1号、pp.44-55
・山本利一・本村猛能・本郷健(2016):初等・中等教育におけるプログラミング教育の教育的意義の考察、日本教育情報学会誌、第32巻第2号、pp.3-12
・本郷健・本村猛能・山本利一・齋籐実(2015): 英国のICTカリキュラム改訂の背景と日本の情報教育の枠組に関わる基礎的研究、日本教育情報学会誌、第31巻第1号、pp.11-23
・山本利一・本村猛能(2013):新学習指導要領に対応する教員研修内容の提案 ―プログラムによる計測・制御に焦点を当てて―、埼玉大学研究紀要、pp.131-138

情報技術教育の視点から

中学校技術・家庭科技術分野の「情報の技術」と、高等学校の共通教科情報科の今後のカリキュラムの方向性について検討すると共に、これまでの学習指導要領の変遷を踏まえながら、技術科、高校工業科、普通高校での情報教育のカリキュラムの検討と教材化を諸外国の様子を交えて研究しています。

-主な著書-
・本村猛能・森山潤著(2018):情報教育の成立・展開期におけるカリキュラム評価、風間書房
・本村猛能・山本利一・森山潤・角和博・工藤雄司著(2018改訂):人間力を育成する情報教育、学術図書出版
・本村猛能・角和博・山本利一・本郷健・森山潤・工藤雄司著(2010改訂):情報科教育法、学術図書出版

-主な論文-
・工藤雄司・山本利一・本村猛能・森山潤・角和博(2018):A proposal for learning of programming focused on IoT、10th Biennial International Design and Technology Teacher’s Association Research Conference、Vol.10
・本村猛能・本郷健・山本利一・永井克昇(2017):数学科・理科・技術科の「見方・考え方」から情報教育の知見、群馬大学教育学部研究紀要、第50巻第1号、pp42-52
・本郷健・本村猛能・山本利一・永井克昇・齋籐実(2017):情報的な見方・考え方を構成する枠組と中心概念の提案、日本教科教育学会誌,第40巻第1号、pp.45-58
・本村猛能・森山潤・角和博・山本利一・工藤雄司(2016):Comparison of Students’ Consciousness toward information Education among Junior and Senior High Schools in Japan,Korea, China and Indonesia、Proceedings of the 2nd International Forum on Human Resources Development through InformationTechnology Education & Eco Action in University The Maran University(Indonesia)、pp.47-53
・本村猛能・森山潤・山本利一・角和博・工藤雄司(2015):日本・韓国・中国の中学・高等学校情報教育における学習者のカリキュラムに対するイメージの比較研究、日本教育情報学会誌、第31巻第3号、pp.55-66
・本村猛能・森山潤・山本利一・角和博(2015):学習者の情報教育に対するカリキュラム・イメージの時系列的な変遷の検討、日本教育情報学会誌、第31巻第3号、pp.37-48
・本村猛能・森山潤・角和博・山本利一・工藤雄司(2013):中学・高校生の情報活用能力の習得意欲及び情報関連用語に対する認知度に関する日韓中比較、日本教育情報学会誌、第28巻第4号、pp.3-15