学校教育学

末吉 雄二 教授

Laboratory

研究室紹介

学校教育が、国家の関与や国家による保障を基盤として存立していることを踏まえたうえで、教育機会の実質的保障、児童生徒一人一人の学力保障をいかに進めるのか真剣な研究等が求められている。教育実践の現実、児童生徒の教育のニーズにどのように対応していくべきか、また権利保障として実現するにはどうすればよいか等、将来教員を目指す学生とともに、授業を中心としてこの課題について研究を進めていく。

主な研究紹介

世界では人・物・情報が国境を越えて行き交うグローバル化が急激に進み、子供たちにも大きな影響を与え、生活様式が変化してきている中スマホやSNSの登場により直接的な他者との関係を築けず、コミュニケーション能力の育成が問われる時代になってきている。内閣府等による先進諸国の若者の意識調査によると、、日本の若者達は圧倒的に自己評価が低い結果が発表された。実際に私自身が小中高大学生への同調査でも同様の結果が出た。なぜ、そうなのか。現場の教員としての工夫点や取り組みを研究して、子供たちが自らの力をクラスや学校内で発揮できるような方法を探求していく。

現在「いじめ、校内暴力、不登校等をめぐる深刻な問題が現実に起きている。そのため、この問題を学校だけでなく社会の問題と捉え、家庭、地域、関係機関等との連携により、子供たちが安心して学び、心身ともに健やかに育つ学校を実現することが求められている。新型コロナウィルス感染症問題後、子供たちの生活様式も変化し、これまでの常識や従来の指導方法だけでは問題解決できない時代を想像した教師力を育成し、それを通じて子供たちの「人間力」を豊かに育てるための資質・能力を「教職課程」の学びとして、子供たちとかかわる術を学生とともに研究していきたい。

教職課程での学びは、特に大切なのは「人は何の為に学ぶのか」を、学生が将来教師に成った際に、児童生徒に自然に説明指導できるように重ねる授業の中で、育成していく。特別活動は、変化の激しい時代を生きる児童生徒に欠かせない資質・能力、つまり「生きる力」の育成に極めて重要な役割を果たしている。学校教育と特別活動の関係、人間形成に果たす特別活動の役割・教育的意義等について、学生が学修するにあたってわかりやすく理解させるための方法等の研究を進めていく。

【 主著書・論文 】
<単著>
・『アクション・リサーチによる若手教員の育成』学事出版(2015)
  教師の自己成長をどう図るかの実践研究
・『自己肯定感・有用感を高めるカリキュラム・マネジメント』学事出版(2020)
  社会に開かれた教育課程の視点からの実践研究

<主な共著>
・『学校力』-時代を開く方略と組織マネジメント 三省堂(2006)
・『教育改革に関する提言(知識で考える)』21世紀カリキュラム研究会(2006)
・『保護者対応で困った時に開く本』佐藤晴雄編 教育開発研究所(2012)
・『学校における授業改善の活性化を図る方策』21世紀カリキュラム研究会(2014)
・『学校法』佐々木幸寿編 学文社(初版2017、第2版2019)
・『保護者による対学校行動の実態とその対応』文科省科学研究費基礎研究中間報告書(2017)

<主要論文>
・「小学校学級経営に関する一考察」日本学校教育学会発表(2014)
・「小学校高学年学級経営に関する一考察」日本学校教育学会発表(2015)
・「校長によるアクション・リサーチ手法を用いた若手教員の育成」日本学校教育学会発表(2015)
 (『学校教育研究』30号に掲載)(2015)
・「生徒指導にかかわる学校事務の役割」日本教育事務学会発表(2016)
・「東京都の小学校における防災教育の改善」日本学校教育学会発表(2016)
  -東日本大震災後の避難訓練の事例-(『グローバル時代の学校教育』に掲載)(2016)
・「変貌する学校事務職員と学校経営」日本教育事務学会発表(2017)
・「児童・生徒及び学生の自己肯定感と日本文化の特質」日本教育経営学会・関東支部研修会発表(2019)
・「児童・生徒及び学生の発達段階における自己肯定感の差異への一考察」日本学習社会学校発表(2019)