教師教育・教育課程経営

黒羽 正見 教授

Laboratory

研究室紹介

本研究室は共通教育学群系に所属し、同時に教職教育センター教員を兼任して、学校組織や教師の成長を中心とする学校教育研究室です。教職教育では、教職課程の必修科目を担当しています。3年次までに必要な教職課程科目の単位を取得し、4年次の教育実習(主に母校実習)を経て、所定の単位を修得すれば、卒業と同時に教育委員会より教員免許状が授与されます。共通教育学群系の科目は、教育課程論(2年次)、教育原理(2年次)、特別活動論(3年次)、教育実習Ⅱ・Ⅲ(4年次)を春学期に、教育原理(1年次と2年次)、特別活動論(3年次)、教育実習Ⅰ(3年次)、教育実習Ⅱ・Ⅲ(4年次)、教職実践演習(4年次)を秋学期にと、ほぼ教師教育全般を担当します。教師という職業は、教科についての幅広い知識や理解、授業実践のための方法や技術に長けているだけでは務まりません。なぜならば、教職は、教師と生徒の「人間的ふれあい」とい知識や技術に還元できないものを基底にもつからです。したがって、教師自身が生徒に尊敬され慕われる人間性を基盤にもたなければ、教育指導は困難と言わざるを得ません。そのような視点から、私の授業のすべては4年次の教育実習に向けた自己形成としての自分磨きの場と位置付けた授業を中心に行っていきます。

主な研究紹介

学校の自己更新力に関する研究

研究テーマは、現実の教育課程経営が展開されている学校経営のリアリティに踏み込んで、実際の教育活動を突き動かしている教師の価値・信念(暗黙知)に焦点を当て、個別学校の教育課程経営事象を精細に把握・分析することを通して、教育理論の教育課程経営事象との有機的・因果的関連をとらえながら、今後学校が目指すべき方向性と課題を描き出すことを目的としています。そこで、「研究対象とする学校経営の中核である教育課程経営の自己更新力とは何か」「教育課程経営の自己更新力が教師の信念(暗黙知)に着目する必要性」「教育課程経営の自己更新力のための実践的指針」「学校の自己更新力と児童生徒との関係性」という4つの研究課題を設定しました。これまでの研究の結果、①「意図的な曖昧さ」という校長のリーダーシップ、②教師の自己効力感をモラールへ変換する価値マネジメント、③同僚的支援者による学校教育コミュニティの構築の3点が見いだされました。これらの研究成果を踏まえた現在の研究は、学校組織開発とその組織を構成している教師集団の職能発達について、アクションリサーチによる校内研修と授業改善を中心に進めています。

学校の組織文化に関する研究

教師の教育行為の基底にある暗黙知は、その教師のパーソナリティに深く根ざしているため、教師の内面世界を柔軟で豊かにする手立てを校内研修に組み込む必要があります。今日の学び続ける教師像確立に向けて、教師の暗黙知に焦点を当てた研修の在り方と教師成長を促す組織文化の構築は、将来教員を目指す学生の皆さんにも大切な視点です。また、教師のパーソナリティを柔軟で豊かにする技法の一つとして、授業カンファレンスが効果的です。教師の暗黙知に焦点を当て、教師の教育実践を制御する暗黙知をみえる化し、気付きを深めていかない限り、授業改善の本質的な解決には至りません。

主著書・論文

・ジェティックス研究会・稲垣応顕・黒羽正見・堀井啓幸・松井理納(2018):学際型現代学校教育概論、金子書房
・日本学校教育学会編・黒羽正見・多田孝志・佐藤真・広瀬裕一他(2016):これからの学校教育を担う教師を目指す、学事出版
・山崎保寿・黒羽正見(2015):教育課程の理論と実践、学陽書房
・黒羽正見(2018):道徳科授業における「教師の指導性」に関する事例研究ー授業カンファレンスを中心にー、教育と時間研究会
・黒羽正見(2016):教職員の専門性と実践的指導力の向上をめざしてー学び続ける教師像の確立ー、兵庫県教育員会
・黒羽正見(2015):教育研究と教育実践の融合はどこまで進んだかー当事者性を持った教育実践研究ー、教育開発研究所