位相幾何学

髙岡 邦行 准教授

Laboratory

研究室紹介

私の研究室では数学を主に研究しています。数学の中でも、位相幾何学(トポロジー)と呼ばれる分野の、特に結び目理論を中心に研究しています。結び目理論とは、空間内にある「結び目」と呼ばれる絡まった輪の、その絡まり方を研究する学問です。結び目理論では、「ほどける結び目の特徴は何か?」「ほどける結び目とほどけない結び目を簡単に見分ける方法はあるか?」といった素朴な疑問からスタートして、代数学や解析学、幾何学などの様々な数学の分野の手法を道具として用いて、結び目の性質を調べていきます。

市販されている結び目理論の書籍

主な研究紹介

結び目図式の交差の情報から得られる文字列についての研究

結び目理論において、結び目図式の交差に着目する際、3つの着目の仕方があります。つまり、上/下交差、正/負交差、左/右交差です。結び目図式の交差に着目した結び目の研究は古くから盛んに行われており、上/下交差、正/負交差に着目した研究は、現在でも結び目理論の主流です。一方で、左/右交差は他の2つの交差と異なる性質を持つにもかかわらず、左/右交差に着目した結び目理論の研究は多くありません。そこで、私は結び目図式の左/右交差の性質に着目し、その情報から得られる文字列の性質を通じた結び目理論の研究を行っています。最近は、結び目の左右交差の切り替り回数と上下交差の切り替り回数との関係について興味をもち、研究を進めています。また、それと並行して、結び目図式を辿ったときに正交差と負交差が交代的に現れるような結び目図式の特徴についても研究を進めています。

留学生教育、特に、外国人留学生への数学教育に関する研究

現在、日本には約24万人の外国人留学生がおり、その半数の約12万人の学生が大学などの高等教育機関で学んでいます。近年は、大学や日本語学校を始めとする教育機関の受入体制が徐々に整いつつあり、日本語教育などの留学生教育も活発に研究されています。その一方で、日本語教育の範疇とは言えない理数科目の学習支援方法の研究は、決して十分ではありません。私は、日本の大学に進学を希望する外国人留学生に対する数学教育の観点からの学習支援について興味をもち、日本語学校で学ぶ外国人留学生の数学の学力調査や海外で使用されている教科書と日本の教科書との比較分析を中心に研究を進めています。

最近は、今後留学生の増加が見込まれるミャンマー連邦共和国の高校における数学教育について研究しています。詳しく述べると、ミャンマーで使用されている数学の高校教科書の学習内容を調査し、日本の学習指導要領や教科書との比較を行うことで、日本における高校での数学教育との違いを明らかにすることを目的とした研究を行なっています。さらに、その結果をもとに、ミャンマーからの留学生に対する効率の良い数学の指導方法を提示することを目指しています。

ミャンマーで使用されている教科書(内容は2次関数)