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日本工業大学の取り組みSDGs活動補助金制度の採択活動一覧

SDGs活動補助金制度

2020年度から EMS 年間活動における各部門の取り組みは、今まで行ってきた環境保全活動の枠に捉われず、持続可能性に繋がる幅広い研究、地域連携活動などを重点に行うこととし、特にSDGs目標達成に向けた諸活動には、「SDGs活動補助金」で支援することにしました。
この制度は、以前に後援会(父母会)から協力を頂いて実施していた「環境分野研究奨励助成金制度」が2018年に終了したことと、2030年を年限とするSDGs17ゴールの目標達成に向けた、本学独自のSDGs活動を推進し、活性化を促す目的で設けられたものです。
初年度は、積極的な研究室の3件が採択され、SDGs達成に向けた活動がスタートしました。
※2021年度は、7件が採択されました。2022年度からは、各学科・学群から必ず1件の計8件です。

SDGs活動補助金制度の研究報告は、こちらからご覧になれます。

エコロジープレス    SDGs関連研究

水の力で水をキレイにする環境低負荷水処理装置

基幹工学部 機械工学科 准教授 桑原拓也

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図1 水質浄化原理図

図1に本研究で提案する「水で水をキレイにする」水質浄化原理図を示す。水を電気分解すると、高純度な水素と酸素が得られる。高純度水素は燃料電池に供給され、回収電力の発電に用いられる。高純度酸素は低温プラズマオゾナイザに供給される。オゾナイザでは、無声放電による化学反応を経てオゾンが生成される。本浄化技術では、水の電気分解で得られた高純度酸素をオゾナイザに供給するため、NOxの発生を抑えられる。また、高純度の場合、無声放電による化学反応の効率も向上する。オゾナイザで発生したオゾンは水の浄化に用いられる。オゾンは酸化力が強く、気泡として水に溶かすことで、効果的に水に含まれる化学物質の分解と殺菌が行える。薬品を用いていないため、残存物質がないことも特長である。

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図2 水質浄化試験機の外観

図2に水質浄化試験機の外観を示す。500 mLの手洗い後の水を殺菌浄化した結果、5分で完全殺菌を達成し、8,580 Jの省エネを実現した。上水や電力のインフラが整っていない地域でも太陽電池で利用できるサステナブルな水質浄化装置へ展開する。

体の水分状態を計測するシステムの開発

ロボティクス学科 准教授 秋元 俊成

人間の体の状態を把握する上で、水分状態を捉えることは非常に重要である。例えば、脱水症状や貧血の症状は体の水分状態を把握する事ができれば症状が悪化する前に捉える事が可能となる。ほかにも、心拍の状態や膀胱内尿量等を計測する事も可能になるかもしれない。
本研究では、SDGsの目指す「ゴール3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」を実現するために、これまで日常では計測できていなかった体の水分状態を計測する事を目指して研究を行っている。
本年度は、2020年度SDGs活動補助金を受けて体の水分状態を非接触で計測するための装置開発を行った。日常での生体情報計測の為により小型で単純な構成で電波の透過状態を計測するための装置を試作し、基礎実験を行った。実験装置ではループアンテナを自作し、2.4Ghzの電波を体に透過させることで透過時の位相変化を計測するシステムとした。
実験の結果、ループアンテナ間に水が増えると位相の変化が大きくなる為、アンテナ間の水分状態が計測出来る事が示されたと考えている。

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    実験装置
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    実験結果

自動二輪車の排ガス成分の分析

基幹工学部 機械工学科 教授 中野 道王

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図1 排ガスサンプリング手法

自動車の電動化が進む一方で、インフラが不十分な発展途上国では今後も安価で信頼性の高いエンジン車の増大が予想さる。中でも自動二輪車(オートバイ)は、発展途上国の人々にとって重要な移動手段である。しかし、その多くは、先進国の自動車のような排出ガス対策がなされておらず、環境への悪影響が懸念される。そこで、排気後処理装置が装着されていない排出ガス規制未対応エンジンの排ガスをサンプリングし、これを分析することで排ガス成分を調べるとともに、排出ガス規制(EURO4)に対応したエンジン(排気後処理装置付き)との違いを検討した。図1に示すサンプリング手法を用い、アイドリング運転の排ガス成分を比較した結果を図2に示す。排出ガス規制未対応エンジンからはガソリンの成分と考えられる様々な炭化水素が排出されるが、排ガス規制に対応させることで排出量を約1/200に低減できることが明らかになった。このことは、大気汚染の抑制などの観点において、世界的な自動二輪車への排出ガス規制の導入が必要であることを示している。

図2 ニ輪車の排出ガス規制の効果