教育改革シンポジウム|教育力・研究力|実工学教育の日本工業大学
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教育力・研究力教育改革シンポジウム

第73回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)
授業公開/参観プログラム
「魅せる授業/観たい授業2022」総括

■日時:
令和 5 年3⽉2⽇(木)  17:00~18:40

■場所:
5号館 5-203 教室(Teams配信あり)

■趣旨:
 今年度、久方ぶりに全学で授業公開/参観プログラムを実施することができました。実施は、従前より大きくリニューアルし、キー・フレーズは “魅せる授業/観たい授業” としました。実施方針は、良い授業を探索するための相互研鑽のためのFDと位置づけ、教員は自信のある授業の一コマを公開し、参観教職員は参考になりそうな授業を参観するという方針を明確に示しました。授業者と参観者との意見交換は、「授業公開シート」と「授業参観シート」で行う形とし、参観者はグットプラクティスを推薦することができるようにしました。本シンポジウムでは、これらを総括したいと思います。内容は、基調講演として工学教育に関する事例紹介、今回のプログラムを回しての推進室による総括、および授業設計に参考になりそうな授業の紹介です。ハイブリット開催ではありますが、可能な限りライブ参加をお願いします。

■プログラム:
1.趣旨説明:教育研究推進室長 神 雅彦
2.基調講演:東北大学特任教授 中瀬 博之 氏
 「学生が積極的に活動するエンジニアリング・ファシリテーションの実習」
3.報告:教育研究推進室課長 大塚 竹郎
 プロラム実施結果と今後
4.授業紹介:
 ①機械工学科 瀧澤 英男 教授
 「材料力学1」講義で気を付けていること
 ②建築学科 吉野 一 教授
 「建築設備」の紹介
5.講評:成田 健一 学長
(司会)教育研究推進室長補佐 勝木 祐仁

■参加者数:204名(会場31名、オンライン173名)

■講師プロフィール
東北大学特任教授 中瀬 博之 氏
東北大学大学院工学研究科 工学教育院 三菱ふそう実践的教育プログラム共同研究部門 特任教授、博士(工学)

■内容紹介:
 中瀬博之氏の基調講演では、東北大学における学生の積極性をはぐくむためのファシリテーション教育の実践内容についてお話をいただいた。最近の東北大学の学生気質などの、同授業の必要性に関する背景から始まり、授業の目的、内容、効果、および授業にあたっての注意点などについて紹介していただいた。授業の目的は、これから工学を学ぶための資質づくりとして、主体性を持って課題に取り組む挑戦心、および物事に対する創造心をはぐくむことである。講演では、脳に関する科学的分析、心理的安全状態時に発せられるオキシトシンについて、人間の気づきが生まれるというオートクライン状態、モチベーションにかかわる脳内伝達物質(ドーパミンやアドレナリン)に関する話もあった。授業に対する教員の姿勢として、心理的安全状態を形成するためのアイスブレイク、基本的にワークに介入せず漏れ聞こえてくる話を聞きながら、学生の発想に対するバリアを下げる工夫などが紹介された。具体的な、「創造工学研修」、「スマートハウスの創造」などの講義事例も紹介され、とても参考になったと思う。
 教育研究推進室からは、2006年から実施している、本学の授業公開/参観プログラムのこれまでの経緯に関して、参観報告書の様式の視点から解説された。報告書様式の変遷と当時の大学を取り巻く環境などについても解説された。実施の考え方について知っていただき、今後の方向について議論のきっかけになればと思う。
 授業紹介では、機械工学科の瀧澤英男教授および建築学科の吉野一教授からお話をいただいた。瀧澤教授からは、機械工学科で必須の科目であり、かつ学生にとってはハードルの高い「材料力学」をいかに教育するのかについて、授業での取り組み、悩み、学生の状況などが紹介された。大教室で大勢の学生に対して板書形式でやる方法、単に計算ではなく、実感を伴って教える方法、あるいはアンケートの自由記述の独自の活用法など、参考にすべき点が多々あったと思う。
 吉野教授からは、「建築設備」に関しての紹介があった。この授業では、広い分野について効率よく教える必要があり、そのための工夫に関して述べられた。復習、解説、演習、映像など、コンパクトで緩急のあるパワーポイントを使った、よく計画された授業といった印象である。今の学生のリズムと調和しているようにも感じられた。

(教育研究推進室 神 雅彦)

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    司会 :教育研究推進室長補 佐勝木祐仁准教授
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    教育研究推進室長 神雅彦教授 趣旨説明
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    東北大学特任教授 中瀬博之氏 講演
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    会場の様子
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    教育研究推進室課長 大塚竹郎 報告
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    瀧澤英男教授 授業紹介
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    吉野一教授 授業紹介
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    成田健一学長 講評

第72回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)
教育現場の LGBT
LGBT の学⽣が過ごしやすい学校現場とは
~性の多様性にあふれ、各学生が楽しく成長できる場所~

■日時:
令和 4 年12⽉15⽇(木)  17:35~19:00

■場所:
5号館 5-203 教室(Teams配信あり)

■趣旨:
 性⾃認や性的指向は、⼈間が本来持っている多様性の⼀つです。性のあり⽅(セクシュアリティ)は様々であり、⽇本における LGBT の⽅々の割合は、およそ 5〜10%と⾔われています。しかしながら、世の中においては、依然として周囲の無関⼼や偏⾒、差別などが⾒受けられます。本シンポジウムでは、性⾃認や性的指向の多様な在り⽅の理解を促進、尊重し、LGBT の学⽣が過ごしやすい学校現場を考えていくために、レイ法律事務所の森伸恵弁護⼠を講師に迎え、LGBT の学⽣が悩むこと、カミングアウトやいじめ、教職員や保護者等ができることなどについて講義していただきました。

■プログラム:
17:35〜17:40 挨拶成⽥ 健⼀ 学⻑ 
17:40〜17:45 趣旨説明・講師紹介⻄村 典晃 学園事務局⻑補佐 
17:45〜19:00 講演森 伸惠 ⽒ 
質疑応答は、講演終了後個別に承りました。 
(進⾏:総務課長 杉村 京子)

■参加者数:180名

■講師プロフィール
森 伸惠(もり のぶえ)⽒ レイ法律事務所 弁護⼠ 
茨城県出⾝。創価⼤学法学部卒業、創価⼤学法科⼤学院法務研究科修了。 
・東京弁護⼠会 LGBT 法務研究部部会員、⺠事介⼊暴⼒対策委員会委員 
・東京都産業労働局「LGBT/SOGI に対応した職場環境づくり」講師 
・(⼀財)中部⽣産性本部、東京都労働相談情報センター、企業、学校法⼈等での講演実績多数

内容の紹介
 イントロダクションでは、LGBT当事者たる学生や自身の性に違和を感じている学生が、実際にどのような悩みを感じているのかに関して、自己の悩み、学校生活での悩み、友人関係での悩み、および家庭内での悩みに分類して具体的に説明されました。次に、憲法から始まる関連法について、および過去に実際にあった訴訟を事例に裁判所での判例について解説され、法的な位置づけについての確認をしました。それらを踏まえ、以下の3つのテーマに関して講演されました。
(1)LGBTの基礎知識
自分の性別をどのように考えているのか(性自認)、自分がどのような性別の人に惹かれるのか(性的指向)について確認し、性別違和(トランスジェンダー)と性同一性障害との違いなどについて考えました。
(2)カミングアウト
全国のLBGT人口の割合は8.9%と非常に多いこと、SOGI※2)ハラスメントの類型、および現状として、特に大学における事例を中心に、学生の立場、教職員の立場から解説されました。
(3)大学におけるLGBT対策(就職対策含む)
NPO等の支援の状況、大学での指針の策定例、および具体的な支援に関する先行大学の事例について詳しく説明されました。最後に、実際にカミングアウトされた方との対話形式での話もあり、さらに具体的に理解を深めることができました。
 背景、用語の定義の確認、具体的事例、および大学での取り組みの参考例まで、教職員にとって大変勉強になる内容でした。今後に活かされることを期待します。

(教育研究推進室 神 雅彦)

※1) 本シンポジウムは、「令和4年度学校法人日本工業大学研修プログラム」に則り、大学・中高・法人本部共通のコンプライアンス研修として実施されました。
※2) SOGI:Sexual Orientation / Gender Identify(性的指向/性自認)

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    成田健一学長 挨拶
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    趣旨説明・講師紹介 西村典晃学園事務局長補佐
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    会場の様子
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    森伸恵先生の講演

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