教育改革シンポジウム|教育力・研究力|実工学教育の日本工業大学
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教育力・研究力教育改革シンポジウム

第71回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)
合理的配慮の理解と改善に向けて

■日時:
令和 4 年12⽉1⽇(木)  16:30~18:30

■場所:
5号館 5-203 教室(対面型のみの開催)

■趣旨:
 「改正障害者差別解消法」によって、私立大学等を含む全ての大学等にとって合理的配慮の提供は法的義務となりました。同法は昨年6月に公布され令和6年6月までには施行されます。
 本学においては、合理的配慮の制度を整備し、また対処フローを見直してきましたが、合理的配慮はマニュアル化することで画一的に行えるものではありません。学生ひとり一人と各授業の特性などに基づく柔軟かつ適切な対応を行うことが求められ、これには全ての教職員が障害のある学生と合理的配慮について理解を深めることが不可欠です。
 そこで第一部では、本学における合理的配慮の現状をご報告することで、情報共有と現状理解への一助とします。つづく第二部では、合理的配慮のへの理解を一層深めるために、講師の方から「障害のある学生に対する基本的な考え方と私立大学の使命」「具体的な配慮内容、他大学の事例等」などについて、最新の知見にもとづきご講演をいただきます。
 このシンポジウムが、本学における合理的配慮を一層柔軟かつ適切に提供する上で有意義なものとなることを願います。

■プログラム:
1.開会の挨拶:成⽥ 健⼀ 学長
.第一部
 報告:川合 耕一郎 学生相談室長
 タイトル:本学における合理的配慮の状況
 第二部
 講演:成蹊大学 文学部教授・学生サポートセンター学生相談室 カウンセラー
    日本学生相談学会 常任理事 岩田 淳子 氏
 タイトル:発達障害/精神障害のある学生への理解と支援  -学修上の困難と合理的配慮-
3.質疑応答
4.総括:中野 道王 学生支援部長

■参加者数:132名

■内容の紹介:
◆報告(川合室長):
 まず、2024年までに、私立大学でも「合理的配慮の提供」が法的義務となることに触れ、本学における合理的配慮の状況を報告。具体的には、合理的配慮の申請までの流れや配慮内容の決定プロセス、それらに関係する書類について説明した。
 学生相談室を経由して合理的配慮を受ける学生の状況を、学科別、主たる診断別に人数を報告し、合理的配慮の申請時期や配慮内容についても触れた。
 前提として教職員の一定の理解はあるとした上で、今後の検討点としては、「ルール・環境の調整」「合理的配慮と教育的配慮の整理」「発達障害とハラスメント問題の関連」「合理的配慮を受けた学生のその後の状況整理」を挙げていた。
◆講演(岩田先生):
1.新しい障害観 ―障害者差別解消法―
 障害のとらえ方が、「医学モデル」から「社会モデル」(機能障害のある人が社会生活を営む上で障壁となっている状態)へ。障害のある学生にとっての大学における社会的障壁の具体例を紹介し、障害学生数とその種別、障害学生在籍率の推移を確認。

2.大学生によくみられる発達障害と精神障害/学修上の困難
 発達障害(神経発達症群)は、生まれつきのもので、脳の機能障害である。CTや脳波などの検査ではわからず、本人の性格や親の育て方のせいではない、多因子疾患(多因子遺伝)モデルである。
 発達障害(神経発達症群)には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習症(LD)などがあり、それらの特徴を説明。また、学修上の困難として、「能力・やる気の欠如との誤解」や「授業・ゼミ・研究室運営の妨害になりかねない」など具体例をあげて説明し、発達障害の難しさや、発達障害の特徴を障害ではなく多様性のひとつとして捉える「ニューロダイバーシティ」の考え方についても触れた。
 精神障害(精神疾患)は、脳の機能的な障害や器質的な問題により生じる精神的な疾患の総称で、日常生活や社会参加(学生生活への参加)に困難をきたしたり、判断能力や行動のコントロールが著しく低下している状態。大学生に多くみられる精神障害(精神疾患)として、「うつ病」「不安症」「統合失調症」「依存症(ゲーム依存)」などをあげ、それらの症状や治療法などを紹介し、学修上の困難として、具体例をあげて説明。

3.発達障害・精神障害のある学生への学修上の支援
 障害学生支援には、環境整備や合理的配慮などがある。発達障害学生、精神障害学生それぞれの支援の基本として、具体的な支援策・方法を紹介し、専門家による支援内容にも触れた。また、障害学生に対して、コロナ禍によるデジタル化がもたらした環境整備についても、メリットと課題を掲げた。

4.合理的配慮とその課題
 合理的配慮の要件として、次の7つを説明。
 ・障害のある学生の「教育を受ける権利」の確保
 ・社会的障壁の除去を必要とする意思の表明
 ・根拠資料がある
 ・大学が必要かつ適当な変更・調整を行う(その場の状況に応じて、個別に必要とされるもの)
 ・大学の体制面・財政面において、実施にともなう負担が過重でない
 ・教育・研究の目的・内容・機能の本質的な変更ではない
 ・障害者・第三者の権利利益を侵害しない
また、授業形式や実験、卒業研究、期末試験などにおける具体的な配慮内容を説明した。

5.事例から考える合理的配慮
 2つの事例紹介とともに、現場で直面するであろう判断に迷うケースについても触れ、方向性や着地点まで説明があった。当事者と大学との間で建設的対話を継続すること、教育・研究の目的・内容・機能の本質的な変更であってはならないこと、正当かつ公平に評価していると伝えることのできる配慮内容であることが必要である。

(齊藤望 学生支援課長)

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    成田健一学長挨拶
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    会場の様子
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    川合耕一郎学生相談室長報告
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    岩田淳子先生の講演
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    講演および聴講の様子
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    中野道王学生支援部長による総括

第70回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)
クォータ科⽬の⽬指す基礎学⼒

■日時:
令和 4 年10⽉20⽇(木)  17:35~19:00

■場所:
5号館 5-203 教室(Teams配信あり)

■趣旨:
 2018年度の学部改組に合わせてはじめられたクォータ科⽬は、1 年次に⼀定の基礎学⼒と学習習慣をつけ、⾼年次の学びを向上させることが⼤きな⽬的です。 
 このシンポジウムでは、完成年度を過ぎた時点でこれまでを振り返り、クォータ科⽬が⽬的とすること、授業内容を改めて広くご理解して頂きたく開催されたものです。

■プログラム:
1.趣旨説明:クォータ運営室⻑ 衛藤 和⽂
.「クォータ科⽬の学び」
 2-1 「数学」 佐藤 弘康
 2-2 「物理Ⅰ」 梅⾕ 篤史
 2-3 「リーディングスキルⅠ・Ⅱ」 廣⽥ 純⼦
 2-4 「⼯学基礎物理実験」 服部 邦彦
3.総括:共通教育学群⻑ 佐藤 杉弥
(司会:共通教育学群 ⾼岡 邦⾏)

■参加者数:
(会場参加)
36名 (オンライン参加)151名

■内容の紹介:
 本学では2018年度から数学・物理・英語の3教科について、1年を4つの学期に分けて授業を行い、一定レベルの科目への合格を求める「クォータ科目」を開講している。制度の開始から4年が経過したことも踏まえ、あらためて現在のクォータ科目が具体的にどのような「基礎学力の養成」を目指しているのかを周知・共有するためのシンポジウムである。
 講演ではクォータ運営室の共通教育学群・衛藤教授が制度全体についての概説を行い、その後は数学・物理・英語そして物理基礎実験の各担当教員から「計算偏重にならず《言葉としての数学》を理解すること」「物理では《現象を数式で扱う考え方》を身につけること」「英語では《インプット》すなわち読んで理解する能力を重視していること」などが、それぞれの教科の必修科目での目標としていることが報告された。
 参加者への事後アンケートでは、各担当教員の多大な努力を労うとともに、クォータ科目導入による一定の効果を認める声が多数寄せられている。

(日本工業大学通信Vol.239号より)

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    高岡邦行准教授による司会
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    衛藤和文教授による趣旨説明①
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    衛藤和文教授による趣旨説明②
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    佐藤弘康准教授による講演(数学)
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    梅⾕篤史准教授による講演(物理Ⅰ)
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    廣⽥純⼦准教授による講演(リーディングスキル)
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    服部邦彦教授による講演(⼯学基礎物理実験)
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    佐藤杉弥共通教育学群⻑による総括

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