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ものづくり環境学科大澤正久教授の発光メカニズムの解明がDalton Transactionに掲載されました

ものづくり環境学科大澤正久教授が高効率青色遅延蛍光を示す銀ハイブリッド材料の合成に成功し、理論計算による発光メカニズムの解明を行い、本成果が英国王立化学会の無機化学系専門誌の中で最も権威があるDalton Transactionの裏表紙に掲載されました。

 

蛍光灯が光るときは電気エネルギー、太陽が光るときは核エネルギーというように、物質が光るときには必ずエネルギーが必要です。有機ELディスプレイに用いられる発光材料も、電気エネルギーを受け取り、これを光エネルギーへと変換しています。この変換効率を上げ、省エネルギー化を図るために、活発な材料開発が行われています。最近、従来の蛍光材料(有機化合物)、リン光材料(重金属ハイブリッド化合物)とは異なる新たな発光プロセスを有した遅延蛍光性発光材料が、次世代の発光材料として注目されています(図1)。この発光プロセスを利用することで、従来の材料では困難であった省エネルギー化と青色発光の両立が期待されています。

我々は、銅と有機配位子を組み合わせたハイブリッド材料に注目し、高効率緑色遅延蛍光性発光材料の開発を行ってきました。今回、銅の替わりに銀を用いることで高効率青色発光を示すハイブリッド遅延蛍光材料の合成に成功しました。また、分子軌道計算によりその発光メカニズムを明らかにすることができました(図2)。

この成果により、現在まで銅に限られていた材料開発の選択肢を広げ、また発光色をチューニングするための分子設計指針を提示できたと考えられます。

有機ELはiPhoneのディスプレイにも採用され、その市場規模は益々大きくなることが予想されています。本成果の応用が期待されます。