通信トラヒック工学研究室 (吉野 秀明)|電気情報工学科|学部・大学院|実工学教育の日本工業大学

基幹工学部電気情報工学科

※2025年4月より、電気電子通信工学科から学科名称変更予定

通信トラヒック工学研究室

吉野 秀明 教授

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研究室紹介

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インターネットに代表される情報通信は、技術進歩が最も早い分野の一つです。スマートフォンやタブレットなどの端末の進化、LINEやTwitterなどのアプリケーションの多様化、IoTの進展により、通信ネットワーク上の情報の流れ(通信トラヒック)が大きく変化しています。本研究室では、目に見えないトラヒックの変化を可視化し、快適なインターネットを実現するための技術の確立を目指し、機械学習に基づくビッグデータ解析、ネットワークシミュレーション、待ち行列理論に基づく数理解析モデルなど、最先端の技術を駆使した評価法、設計法、制御法の研究に日夜取り組んでいます。これからの時代に求められる『データ分析力』の高度なスキルを身に付け、学会や社会インフラに貢献する、とてもやりがいのある研究に、あなたも挑戦してみませんか?

主な研究紹介

センサデータの時空間集約による異常トラヒック検知手法の研究

身の周りのあらゆるモノがインターネットにつながるIoT:Internet of Thingsの時代が訪れようとしています。空間的な拡がりを持つ大量のIoTデバイスやセンサからの情報を効率的に集約し、情報の変化を迅速に見出すための異常トラヒック検知手法の研究に取り組んでいます。従来、主にサイバー攻撃を検出する技術として研究されてきたトラヒック検知技術とビッグデータ解析の基盤となるデータマイニング・機械学習手法を融合し、通信トラヒックの時間軸上の変化に加え、空間的な変化も検知可能な技術を確立することを目的としています。今後のIoT進展による空間的な拡がりを持つ極小・大量パケットの急拡大と通信ネットワークの更なる高速化に対応可能な手法により、ネットワークセキュリティの確保、高信頼ネットワークの実現、環境・交通・ヘルスケア等のセンサデータ異常検知、広告効果の検証などへの応用展開を目指しています。

災害型輻輳に対するトラヒック制御方式の提案と評価

通信ネットワークの混雑(輻輳:ふくそう)を解消する技術として、チケット予約などの企画型輻輳や災害時の見舞い呼などの輻輳に対する制御技術が電話ネットワークを対象として開発・導入されてきました。従来の輻輳制御は、通信回線や交換機などのネットワークリソースの有効活用を図ることを目的としており、ユーザが実際に感じる品質(ユーザ体感品質、QoE:Quality of Experience)の改善に直接結びつかないという課題がありました。この課題に対して、輻輳時にも再呼を抑制しユーザの要求する直接の会話を実現する予約型輻輳制御方式を提案しました。シミュレーション評価により、輻輳時においても髙い呼接続完了率を実現できること、最短通話優先方式を採用することで予約待ち時間も低く抑えることが出来ることを確認しました。現在、予約サーバのスケーラビリティ評価などを進めています。

SNSのビッグデータ解析による需要・トラヒック予測

メールやブログに加えて、ソーシャルネットワークサービス:SNSが重要なコミュニケーション手段となっています。SNSを代表するTwitterのオンラインリアルタイム分析による需要・トラヒック予測の研究に取り組んでいます。サーバ複数台から構成される分散処理環境を用いて、映画や観光地に対するTwitterでの評判を形態素解析により分析・機械学習し、映画動員数や観光客数をある程度の精度で予測することが可能であることを確認しています。この他、Tweetに含まれる絵文字などの感情表現抽出手法の研究やスマートフォン所持者の行動分析によるモバイル動画トラヒック予測の研究などに取り組んでいます。