ハイブリッド材料研究室 (大澤 正久)|環境生命化学科|学部・大学院|実工学教育の日本工業大学

基幹工学部環境生命化学科

※2025年4月より、応用化学科から学科名称変更予定

ハイブリッド材料研究室

大澤 正久 教授

教員紹介 紹介動画

研究室紹介

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研究室集合写真(2017/5/30)

「分子レベルで物質を創る」

化学には多くの魅力的分野がありますが、その一つは分子レベルで物質を創ることができる合成化学の分野です。身の周りの多くの物は、化学の力によって合成された物質です。私たちの研究室では、金属イオンと有機配位子が結びついた「ハイブリッド化合物」に注目して、有機ELやセンサー材料への応用が可能な発光材料の開発研究を行っています。創ることだけがゴールではなく、合成した物質の光物性・発光メカニズムの研究も行います。数オングストローム(1オングストロームは100億分の1メートル)の大きさの置換基の有無によって生じる構造の違いから、その性質が大きく変化することも珍しくありません。創ってみて初めて分かることもたくさんあります。「よく遊び、よく学ぶ」をモットーにルールを守り楽しく研究しています。

主な研究紹介

「光る物質」を創る

蛍光灯には電気エネルギー、太陽には核融合のエネルギー、という様に、物質が光る時は必ずエネルギーが必要です。「与えたエネルギーに対してどれくらいの光エネルギーが取り出せるか?」を示す指標に「発光効率」があります。この値が100%ならエネルギーのムダがない「エコ」な発光材料とみなすことができます。私たちは最近、固体、溶液、どちらの状態でもその値がほぼ100%に近い、水色発光を示すハイブリッド材料の合成に成功しています(写真)。この発光メカニズム研究から得られる知見を、新規材料合成へとフィードバックして行きます。

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固体の発光(左)と溶液の発光(右)

「外部刺激」で発光色を変える

発光色の変化は視覚的に認識しやすいことから、センサーへの応用が期待できます。シックハウス症候群の原因となるような特定の化学物質の存在、温度や湿度の変化、酸素濃度の変化、など様々な外部環境変化や外部刺激に対し発光色で応答する材料の合成研究が活発に行われています。私たちは、こうした発光色変化が刺激によって生じる「構造変化」に基づくことに注目し、あらかじめ構造変化を起こりやすくする部位を導入した分子を設計し、その合成を行っています。例えば、材料を溶かした溶液に超音波で刺激を与えると、無発光状態から強い発光を示すようになる材料の合成に成功しています(動画)。


 

超音波の刺激で強い青緑発光を示す。