彩の国連携力育成プロジェクト|教育力・研究力|実工学教育の日本工業大学

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埼玉県立大学20周年事業 「彩の国連携力育成シンポジウム」 を開催しました

はじめに

 今年、彩の国連携力育成プロジェクトの連携校である埼玉県立大学が開学20周年を迎えるにあたり、地域連携の重要性を地域住民や専門職の方々へアピールし、埼玉県内において地域連携や地域包括ケアの最前線で活躍される皆様から知見を得つつ、参加者一同で地域連携のあり方を考察する機会として、去る3月10日(日)、同大学を会場に当シンポジウムを開催した。

シンポジウムⅠ 地域連携(多職種)の実績と課題

 冒頭、埼玉医科大学・米岡裕美講師より「地域連携の課題発見・意見集約のためのワークショップ手法」と題し、当プロジェクトが展開する「IPW(専門職連携)」にかかる演習において活用されている、多様な意見を共有し新たなアイディアを創出する手法の数々が紹介された。
 続いて、狭山市医師会副会長・遠藤一博氏、所沢市医療介護連携支援センター所長・伊藤里美氏、坂戸鶴ヶ島医師会在宅医療相談室室長・清野恵理子氏、公益財団法人埼玉県理学療法士会副会長・岡持利亘氏より、埼玉県内の各地域における地域連携推進のために創意工夫している点や、地域住民の方々とどのようにコミュニケーションを図っているかなど、現場からの貴重な声が情報提供された。

シンポジウムⅡ 連携力を有する人材育成

 はじめに「学部学生の連携力育成教育の実践」をテーマに、埼玉県立大学・新井利民准教授より、当プロジェクトがこれまで展開した「IPW実習」を経験した同大学卒業生へ追跡調査し、連携教育が就業の現場でどう活かされたかの所見や、当プロジェクトの様々な社会貢献の実績が報告された。本学・勝木祐仁准教授からは、建築学科生活環境デザインコースへの連携教育導入の経緯や、建築系学生が「IPW実習」に参加する意義、同実習を通じて得た気づきなど、学生からの声を通じ得られた知見が紹介された。
 引き続き「実践者の連携力育成教育の実践」をテーマに、埼玉県立大学・横山恵子教授より、同大学が主宰・展開する「IPW総合課程」の実施状況や、「多職種で合意形成を繰り返しながら共通の目標に向かって支援することで、一人では成し得ない結果が生まれることが分かった」等、実習生から貴重な意見が寄せられたことが、特別養護老人ホーム杏樹苑爽風館施設長・酒本隆敬氏より、「IPW実習」の実習先として学生を受け入れて気づいたことのみならず、当プロジェクトが主宰する「専門職連携推進会議」へ参加して得た知見などが報告された。

シンポジウムを終えて

 地域連携をすすめるにあたり、地域における現状と問題点をどう把握すべきか、誰にどのように声を掛けるべきか、職種間の意見の相違をどのように埋めていくべきかなど、多くの問題が存在する。シンポジウムⅠにおいて、ゲストスピーカーの皆様からの情報提供を終えた後、埼玉県内において医療、看護、福祉等の職種に従事される方を中心に、想定を超えた多くの質問が寄せられたことを鑑みれば、当プロジェクトが目指す「連携力育成」は、埼玉県のどの地域においても提案できる余地があると思われた。
 連携校の学生同士の協働は勿論のこと、地域住民や専門職の方々との協働、換言すれば「地域や人にどう寄り添うべきか」を、改めて考えるきっかけとなった一日であった。

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    遠藤一博氏による講演
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    酒本隆敬氏による講演
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    本学・勝木祐仁准教授による講演
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    ディスカッションの模様