日本工業大学 :: 環境共生システム学専攻の内藤さんが日本磁気科学会の学生ポスター賞を受賞

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受賞

環境共生システム学専攻の内藤さんが日本磁気科学会の学生ポスター賞を受賞

 環境共生システム学専攻博士前期課程2年(池添研究室)の内藤友哉さんが11月20日、 日本磁気科学会の学生ポスター賞を受賞しました。論文題目は「安定した複数点磁気浮上条件下での再結晶化過程の観察」。  

 本研究では1㎝程度の永久磁石の周辺の磁場分布を精密に解析し、永久磁石だけで反磁性(※)物質を空中に浮上させる技術を開発しました。
  物体を浮かす技術は数多く存在しますが、外部制御装置を使わずに、室温で静的に物体を浮かすことのできる技術は、この反磁性磁気浮上技術以外にはほとんどありません。今回、磁石配置を工夫して一度に多数の物体の浮上実験が出来るような装置を作製し、水溶液から結晶が析出する過程をリアルタイムで観測。容器に入った溶液からは得られないような形状の結晶が析出することを見出しました。この研究成果が、今後の材料開発や結晶成長技術の発展に貢献すると期待され、高く評価されました。

 これまで、反磁性物質の磁気浮上には、極めて強い磁力を発生することの出来る超電導磁石が使用されていましたが、磁石本体の価格やランニングコストが高いため、一般の研究開発の現場には設置されていません。池添研究室で開発した装置は、市販の安価な(100円程度の)永久磁石で実現されます。従来、国際宇宙ステーション内の微小重力環境で実施されていたタンパク質の結晶成長実験が、地上でも再現できるかもしれません。また結晶化条件の最適化などへの応用も可能であることから、今後の物質科学や医療への応用が期待されます。
 受賞に際し内藤さんは「今回の受賞を非常に嬉しく思っています。学会を通していただいた様々なご意見を活かして、今後の研究に臨みたい」とコメントしています。

※反磁性=物質が磁石から反発力を受ける性質のこと。この反発力は非常に小さいので一般にはあまり知られていませんが水、生体、プラスチック、ガラス、陶器、木材、金、銀、銅など身の回りにある物質の多くが反磁性です。

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表彰状を授与された内藤さん(左)


■日本磁気科学会 学生ポスター賞受賞者(PDF)
https://www.magneto-science.jp/Awards/AwardsP.pdf

■環境生命化学科 先駆物質化学研究室(池添泰弘教授)
https://www.nit.ac.jp/campus/teacher/ac_ikezoe

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