第64回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)|教育力・研究力|実工学教育の日本工業大学

教育改革シンポジウム第64回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)

第64回教育改革シンポジウム(FD/SD研修会)
授業における著作物の正しい利用法

■日時:
令和 3 年 9 ⽉ 30 ⽇(⽊)  15:00〜17:00

■場所:
学友会館ホールおよびオンライン聴講

■趣旨:
 著作権法の改正によりSARTRAS(一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会)に補償金を支払うことで、遠隔授業等において、他人の著作物を利用した教材をインターネット経由で送信(=授業目的公衆送信)することができるようになりました。これにより、著作物の利用可能な範囲が広がった反面、著作権法に抵触するリスクも高まったと言えます。このリスクを回避するためには、教職員が著作権に関する正しい知識を持つことが重要です。本シンポジウムでは、科学技術書籍出版の第一線で活躍されてきた小山透氏をお招きし、著作権について講義資料の作成という観点からご講演を頂きました。

■プログラム:
挨拶:成⽥ 健⼀ 学⻑
講演:元 ㈱近代科学社代表取締役社長 小山 透 ⽒
総括:田中 佳子 共通教育学群准教授

■参加者数:
会場 18名、オンライン 155名  合計 173

■内容:
 講師の小山透氏は、共立出版㈱ と ㈱近代科学社において編集長や代表取締役社長などを務められ、出版業界において著作権と係わり、著作権に関する知識はもちろん、実務上の経験も豊富である。本年からは自称「フリーの自遊人」として活躍されている。講演におけるいくつかのポイントを拾ってみたい。
著作権と著作権法:著作権は著作物を創作した者が保持する権利であり、著作物とは、思想または感情を表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものである。模倣、アイデアあるいは工業製品は対象外である。著作権法には、著作者の権利を保持する目的と、著作物を後世に利用することで新たな書作物を創成し文化の発展に寄与するといった崇高な精神がある。
引用について:公表された著作物は公正な慣行に従って正しく「引用」することで批評や研究に利用することができる。公正な慣行とは、引用するものが「従」であって「主」にならないこと、引用するものの表現が正確であること、引用の必然性があること、出所を明示することである。
講義/授業での著作物の利用について:著作権法では、「教育を担当する者やその学習者は,授業の過程で使用するために著作物を複製することができる(第35条)」と記されており、原則としては利用可能である。ただし、「引用」、「転載」、「参考」における、それぞれの作法を守る必要がある。
◆講演では、いくつかの参考文献を紹介していただいた。
(1)小山  透:「科学技術系のライティング技法」、慶応技術大学出版会(2011)、
   ※慶応義塾大学SFCで「科学技術系ライティング技法」の授業を担当し、その講義資料を書籍化した。
(2)木下是雄:「理科系の作文技術」、中公新書624(1981)。

教育研究推進室 神 雅彦

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    成田健一学長挨拶
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    小山透⽒のご講演
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    辻村教務部長による司会進行
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    田中准教授による総括

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