5月25日、応用化学科の伴雅人教授の論文が、Nature Research社「Scientific Reports」に掲載されました。
論文題目は「Fabrication of Plane-type Axon Guidance Substrates by Applying Diamond-like Carbon Thin Film Deposition」です。
本誌は、学術雑誌「Nature」などを出版するNature Research社が刊行するオープンアクセスジャーナルで、自然科学のすべての分野を網羅する世界最大規模の学術雑誌です。

今回掲載された論文は、プラズマCVD法によるダイヤモンド状炭素（DLC）薄膜のコーティング技術を利用し、ニューロンの軸索挙動の評価に使える平板（２D）型デバイスの開発に関する研究について。デバイスには、軸索を個別に観察できる、あみだくじ構造と名付けた独特のニューロンネットワークが構築されています。このデバイスは、軸索を誘導するための溝などの３D構造を必要としないため、従来法である煩雑なソフトリソグラフィー法を使わずに作製が可能です。

伴教授は、「ライフワークであるDLC薄膜の医療・環境分野での新しい展開として、神経系疾患の治療や化学物質の脳・神経系への影響調査などさまざまな適用可能性をもつデバイスを開発しました。現在このデバイスは、深刻な環境問題となっているマイクロ・ナノプラスチックのヒト脳・神経系への影響調査に関わる研究に使用しています。さらに今後は、このデバイスを利用し、外傷性脳損傷の実験室での再現や食品ロスから抽出したファイトケミカルの効能調査など、幅広く応用展開を計っていきます。」と述べています。

【参考】
◆Scientific Reports（外部サイト）
「Fabrication of Plane-type Axon Guidance Substrates by Applying Diamond-like Carbon Thin Film Deposition」
https://doi.org/10.1038/s41598-023-35528-3

◆応用化学科　伴雅人教授プロフィール
https://www.nit.ac.jp/campus/teacher/ac_ban