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南アフリカ共和国から2校の職業訓練校(TVET)16名を対象にした研修を実施

2月9日(木)に、南アフリカ共和国(南ア)のツワネサウスTVET(職業教育訓練)カレッジ(プレトリア)、ノースリンクTVETカレッジ(ケープタウン)の2校から16名の方々が日本工業大学に来学されます。本学では機械実工学教育センターやカレッジマイスタープログラム:機械加工工房など、「旋盤加工・組み立て」の特徴的な教育メニューや、就職支援や起業教育など、エンジニアと企業や社会を結びつける試みについて研修を実施し、南アの「技術者育成」や「高い若者の失業率」などの課題解決に協力します。

◆南アフリカ共和国ってどんな国?
アフリカ大陸の最南部に位置する南アフリカ共和国は、日本の約3倍の国土に約5900万人が暮らしています。人種隔離政策である「アパルトヘイト」は1994年に撤廃され、現在は徹底した人種平等の政策により運営されています。若者人口比率が世界一(2015年)など、若く成長力のある国ですが、その一方で、失業率は29.2%(2020年)と高く、特に黒人の若者の高い失業率が社会課題となっています。
そこで、南アでは国策として「2030年までに1100万人の新規雇用を生み出し、失業率を6%に改善する」ことを掲げています。目標達成のために、高等教育・訓練省(Department of Higher Education and Training: DHET)が全国に50校の公立のTVET(職業教育訓練)カレッジを運営し、中等教育を終えた学生が入学しています。それぞれのカレッジでは機械・電気・組立旋盤・土木・溶接・ボイラー・自動車など、特徴別に専門分野の技能人材を育成しています。更に、南アでは国家インフラ計画で定められた将来性のある13職種の技能工育成のために、産学連携と教育を組み合わせた人材育成カリキュラムであるCoS(Center of Specialization)プロジェクトが2019年から実施されています。各国が手分けする形で13職種における南アのCoSプロジェクトに協力を行っており、日本ではJICA(国際協力機構)を中心に「旋盤加工・組み立て」分野の協力を行っています。こうした経緯の中、JICAの協力対象となるツワネサウスTVETカレッジとノースリンクTVETカレッジの2校から校長・キャンパス長、部長、技術職員、学生支援職員など様々な部門の方々が20日間日本を訪問し、見学・研修を受講されます。

◆日本工業大学での研修の目的と研修メニュー
南アの課題は「技術の修得」のカリキュラムだけではなく、高い失業率改善のために「カレッジにおける就職支援の仕組みづくり」や「若者自身による起業の促進を支える起業教育」など、大きく3つあります。エンジニア人材の教育として3つの課題全て取り組み、成果を上げている日本工業大学が研修先として選ばれました。

旋盤や組立の技術の修得                    幅広い工作機械を取りそろえる機械実工学教育センターや、「ミニ旋盤を部品の加工から、イチから学ぶ」機械加工工房といった本学の特徴的な教育プログラムの見学で、座学と演習を両立させた独自の教育ノウハウを提供します。
更に、本学の工業技術博物館の見学で、日本のモノづくりの歴史を理解していただきます。
就職支援の仕組みづくり 「就職支援に熱心に取り組んでいる大学 全国6位」(日本経済新聞社・日経HR調査)を誇る本学の就職支援の仕組みについて、日本の就職活動の特徴、企業と学生をどのように結びつけるノウハウを説明します。
起業教育 授業「起業とビジネスプラン」の授業内容や、17年続く本学のビジネスプランコンテストを中心にした学生の起業支援体制など、工業系大学としてエンジニアの特徴を活かす起業教育プログラムの展開について説明します。

【参考情報】
▪機械実工学教育センター 
 https://www.nit.ac.jp/campus/center/machine
▪カレッジマイスタープログラム 機械加工工房
https://www.nit.ac.jp/education-research/meister/kikai
▪工業技術博物館
https://museum.nit.ac.jp/
▪就職・キャリア(日本工業大学ウェブサイト)
 https://www.nit.ac.jp/recruit-support
▪授業とビジネスプランコンテストを組み合わせた起業教育の取組み
(私立大学情報教育協会「大学教育と情報」2019年3月号)
https://www.juce.jp/LINK/journal/2002/pdf/02_02.pdf

本学での研修は日本国内での本格的な研修の初日にあたり、また、南アの3つの課題に全て対応する見学先は本学だけであることから、「日本のモノづくり教育・就職支援・起業支援」を幅広く紹介し、20日間の国内研修を有意義に行っていただくお手伝いとなればと考えています。

学生による発表で、教わる側の「生の声」を伝える
本学見学の最後には、機械工学科3年生 増田 恵治さんが、3年間の大学生活について学生の立場からのプレゼンテーションを実施します。増田さんは、大学生活の中で「旋盤技能検定取得」「機械加工工房でミニ旋盤を製作」「本学ビジネスプランコンテストで最優秀賞を獲得し、現在起業プランの実現に向けて挑戦中」と、南ア側が来日目的とする教育の全てを、身をもって実践しており、学生からの貴重な「生の声」を通じた国際貢献を担当します。

本学以外の20日間の研修メニュー
20日間、南アの皆様は、本学だけではなくポリテクセンターなどでの技術指導、専門学校や大学、創業支援機関の見学など、幅広い研修を受講されます。また、モノづくりには技能の修得だけではなく、製造機械や測定機械についての理解も重要であることから、精密測定機器のリーディングカンパニーである「株式会社ミツトヨ:https://www.mitutoyo.co.jp/」の見学のほか、大手工作機械メーカーや実際の製造現場として工場見学等も行われる予定です。

【本件に関する取材のお問い合わせ】
産学連携センター(イノベーション・起業教育センター)
sangaku@nit.ac.jp

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